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「ふたば系ゆっくりいじめ 1282 お前のゆん生30点/コメントログ」 なかなかとかいはなSSだったわ -- 2010-05-28 22 51 02 今までのは読む気もしなかったけど、こっちはいいわ。楽しかった -- 2010-05-31 21 53 31 更新されたSSが、愛で・HENTAI・ネタ系ばかりでうんざりしていたけど、こういう虐待系のSSは嬉しいな。 -- 2010-06-07 08 11 08 ちょっちぇもゆっくちできちゃよ! おれいにまりちゃのうんうんさんをたべしゃしぇちぇあげるのじぇ! -- 2010-06-17 10 30 07 所詮ゆっくりのゆん生なんてこんなもんだね。この世に存在しているだけでありがたく思え! -- 2010-07-12 17 41 03 いじめ好きなら専用いじめいけばいいんじゃね? -- 2010-08-05 15 38 17 ↓愛でもあるとはいえここはいじめが基本なんだが -- 2010-09-25 22 06 51 ↓、↓2 どっちもありだって書いてあるんだから仲良くしろよ 何が何でも縄張り争いしないと気が済まないの?自分だけのゆっくりぷれいすがほしいのかな? -- 2010-12-17 12 32 08 見事な記憶改変だったなww 自分がゆっくりできるゆん生(妄想)を作り出す事にかけてはゆっくりの右に出る物は居ないかもしれん -- 2011-01-15 19 35 52 ↓↓お前もいちいち突っ込まなくて良いよ -- 2011-02-04 08 04 08 非ゆっくり症なんかで現実逃避させるなよ~w ↓×2 ゆっくりの言葉がただの鳴き声の理由 ・ごめんなさいは人間を鎮める魔法の言葉(笑) ・妄想妄言が上手いゆっくりこそ英雄ヒロイン(笑) ってところだろうww -- 2018-01-15 22 56 40
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希望崎SS 『ミズを使いすぎるな』 【岸間直嶺プロローグ「リボン」】 大矢モニアプロローグSS『イミテイション』 『私の居るない場所』 無題 死にたい人にお薦めの危険な学校鳥取砂丘高校 上毛茜プロローグSS 『ミズを使いすぎるな』 「水が鳥取に無い!おれのところに回ってこない!昨日おれは理由を知った!希望崎の水使いの奴が!水を使い過ぎる!」 「マワッテコナイ!ミズガコナイ!」 「コナイ!コナイ!ミズガコナイ!」 「ミズを使いすぎるな!」 「ミズを使いすぎるな!」 「ミズを、使いすぎるな!」 【岸間直嶺プロローグ「リボン」】 あの日、たまたま俺の鞄の中に入っていた黒いリボン。 あの日、君に渡すはずだった忘れ物。 何もかもが津波に流されて、手の中に残った物は一本のリボンだけだった。 長く伸びた髪を後ろで束ねて、君のリボンでひとつに束ねる。 一目見れば女物と判るが、幸い希望崎にはもっと珍妙な奴は山ほど居る。 ちょっとした服装倒錯にも寛容な、この学園の空気は割と気に入っている。 ああ。俺は過去に縛られている。 取り返しのつかないことを嘆いても意味がないことは知っている。 世界を呪って。魔人となって。暴れ回った愚かなフェイズはもう終了した。 だが、過去を切り離し、君を忘れてしまえる程ドライになれるわけもない。 だから、俺は伝える。 津波の恐怖を。無慈悲な破滅の奔流を。災害への備えの大切さを。 そして、俺の《緊急小津波警報》が誰かの命を救うきっかけになったなら。 君の死も、結果としてプラスになるんじゃないかと思う。 このリボンは、未練ではなく“誓い”なんだ。 そんなわけで、可愛い子がいたら、遠慮なくまた恋するつもりだから悪く思うなよ。 いや、実はもう、ちょっと気になる奴はいるんだ。 そいつは―― 大矢モニアプロローグSS『イミテイション』 その日、兄さんは死んだ。 そもそもの原因は私がプールで溺れてしまったことだった。 自分の不注意が原因だった。両親からもあそこは危険だから近づくなと言われていたのに。 プールサイドにいた兄は私を助けようとして、プールに飛び込んだ。 だがその結果、今度は兄が溺れてしまったのだ。 私があんなことをしなければ兄は今もそこにいたのに。 家に戻ったあともみなが自分を責めているようで辛かった。 大矢コンツェルンの後継者である兄よりも自分が死ねばよかったと言われているようで。 けれどきっとそれはただの被害妄想だったのだ。 家族は私に優しかったのだから。でも、私にはその優しさが辛くて―― だから私は長く伸ばしていた髪を切った。言葉遣いも変えた。服装も部屋も何もかもすべて変えてしまった。 兄さんになりたかった。 自分のせいで死んでしまった兄さんになって自分を殺してしまいたかった。 けれど、そんなことはできないと僕はわかっていたのだ―― ―――― 「夢か…」 窓から差し込む光を浴びて、大矢モニアは目を覚ました。 今もあの頃のことは夢に見る。何度も繰り返される悪夢。 忘れてしまうことなどできない。 大切な兄を自分のせいで殺してしまったのだから。 「そろそろ学校の準備の時間だな」 時計を確認し、パジャマを脱ぐと、クローゼットの中から学生服を取り出しそれに着替える。 男性的な服装に男性的な口調。 それはあの日から続けてきた習慣。兄になりたくて。 けれど、それはただの偽物に過ぎない。そんなことは自分でもわかっていた。 でもすでに身体に染み付いてしまった。 今更変えられないだろう。 イミテーションゴールド。 他者のコピーを生み出す彼女の魔人能力。 だが、それはすべてを完璧には再現できない不完全なコピー。 まるで兄になりたくて、決してそうはなれない自分自身のようだと思う。 着替えが終わり部屋を出ると用意された食事を取り、いつものようにその日も学校に向かった。 『私の居るない場所』 遠くに行きたいな どこか遠くに行きたいな 私はここに居るけれど ここに私は居ない みんなのために何かをするのは好きだけど 自分のために何かをするのはちょっと苦手なの だからみんなの間に私は居るけど 私はどこにも居ないんだ ここは私の居るない場所 私をどこか遠くに連れてってくれる不思議なちからが溢れてる どこに行くのかな ちょっと怖いな でもみんなのためならば私は飛べる気がする ……みんなのため? 自分がやりたいことのはずなのに みんなのせいにしなきゃ何もできやしない やっぱり私はどこにも居ない 無題 ハルマゲドンに関しては俺も動く 抗議デモだよ 具体的には普段はいがみ合ってる各希望崎陣営と連絡を取り合い、短期の新希望崎を発足した 自分でも驚いたが、豪華なメンバーが集まった 当学園最大水使いのリーダー、幹部3人 水使いではないが最大派閥のNo2、No3 学園では有名な、小学生以来一度も喫煙したことがないというヘビースモーカー 戦闘部隊が四十四人いる上毛衆の一員 アキカン辞めて中二力カンストした奴 他に挙げたらきりが無いが、そうそうたるメンバーで総勢20人を超えた 狩れない鳥取はもはやいないだろうという最強集団だ ソロでShimaneを狩った奴もいる。 学園ではスズハラ機関、アキビン、斧部(俺含む)、一家などの超一流だ なによりも強いのは、全員鳥取でのハルマゲドンをぶっ通しで何日も可能だ。 リアル予定が・・・なんて奴は一人もいない はっきり言って、俺らが声を掛ければ学園のJKは半数以上が動くだろう 四天王の連中はらくだ、砂エルフにも顔が利く。奴らの中にもバンされた奴はいうだろう 協力して全員でハルマゲドンしたらさすがに黙ってられないだろう ちょっと顔なじみのGKに話つけてくるわ 死にたい人にお薦めの危険な学校鳥取砂丘高校 •らくだ上がりの8人なら大丈夫だろうと思っていたら同じような体格の20人に襲われた •ユースから徒歩1分の路上で穴洗がおしりから目をだして倒れていた •足元がぐにゃりとしたのでござをめくってみるとサボテンが転がっていた •眼鏡をした旅行者が襲撃され、目が覚めたら眼鏡が破壊されていた •砂泳で旅行者に突っ込んで倒れた、というか泳いだ後から荷物とかを強奪する •宿がニャン崎さんに襲撃され、女も「男も」全員猫にされた •タクシーからショッピングセンターまでの10mの間にメカワームに襲われた。 •バスに乗れば安全だろうと思ったら、バスの乗客が全員魔人蟻だった •魔人の1/3が八百長経験者。しかも接触者が金回りがよくなったという都市伝説から「貧乏人ほど危ない」 •「そんな危険なわけがない」といって出て行った旅行者が5分後キノコまみれで戻ってきた •「何も持たなければ襲われるわけがない」と手ぶらで出て行った旅行者が大切な想い出を盗まれ下着で戻ってきた •最近流行っている役は「門から手を出す役」 金属釘バットを手に持って悪党に殴りかかるから •鳥取砂丘高校から半径200mは人外にあう確率が150%。一度襲われてまた襲われる確率が50%の意味 •鳥取砂丘高校における亀甲縛りによる死亡者は1日平均120人、うち約20人が外国人旅行者。 上毛茜プロローグSS 20XX年某月某日。 都内に位置する私立希望崎学園は、その面積の大半を砂漠地帯が占める鳥取に転送された。原因は不明。 当時学園内に居た生徒も転送に巻き込まれる。 その中には潜入捜査をするために希望崎高校に入学していたグンマー人、上毛茜も含まれていた。 ◇◇◇ 「喉乾いたなぁ……」 「こっちに飛ばされる前は蛇口を捻れば水が飲めたのにね」 「まぁ砂丘学園が厚意で水を分けてくれてるんだし、そう文句をいうなって。」 希望崎の生徒達の何気ない会話。 ここ数日の取り留めのない話の中には、現状への不満が混ざることも多かった。 「……その水なんだけど、鳥取の人達水の配給をケチってるって噂があるみたいだよ?」 そっと。事実無根の噂を流す。 無論こんな程度の低い嘘をついた所で本気で信じられるとは思ってない。ただ、少しでも彼らの不満に指向性を持たせることができればいい。すなわち、現状に対する不満を砂丘高校に対する不満へとすり替えるのだ。 「マジでー? 鳥取の奴ら、どうもきな臭いと思ってたんだよなぁ。」 「私たちがこっちに来てから、あっちはしばらく水の配給について揉めてたみたいだもんね。」 「いや、彼らだって生活が掛かってるんだからそれはしょうがないんじゃないかなぁ」 やり場のない負の感情を持て余している時、明確な捌け口を求めるのは至極当然な心理である。特に、現在の様な非常事態であればそういった心理はより一層強く働く。 仲間たちの反応は茜にとっておおよそ想定通りの感触だった。 この調子で少しずつ、少しずつ希望崎学園の生徒の鳥取砂丘高校に対するヘイトを増やしていければ。 ――――希望崎学園VS鳥取砂丘高校のハルマゲドンを引き起こせるかも知れない。 そんな企みを心の内に隠し、人懐っこい笑みを浮かべて会話を続ける。 ……心の何処かで微かな罪悪感が生じ始めていることに気づかないふりをしながら。 ◇◇◇ 希望崎学園が転移してから、茜が真っ先にやろうとしたことは上毛衆の隊長への連絡だった。 上毛歌留多を持っている者同士でのみ会話できる、呪符を媒体とした通信で連絡をとった。 【※ここから先の一連の会話はグンマー独自の言語で話されますが、理解できる人はいないと思われるので日本語に翻訳して書かれています】 『ハルマゲドンだ』 現状を伝えると、隊長はしばらく考えるような間があった後そう呟いた。 「ハルマゲドン、というと希望崎学園でよく行われる魔人闘争ですか?」 『然り。鳥取砂丘高校と希望崎学園を対立させ、ハルマゲドンを引き起こすのだ』 「……しかし希望崎学園に手を出すのはまだ早いと、この間の定例会議で決めたはずでは?」 『それは我々が直接希望崎に侵攻するかどうかの話だ。砂丘高校と希望崎が争えば、我々の手を汚さずして希望崎を潰せるかもしれん。絶好のチャンスだ。』 「でも……!」 『くどい。それとも何だ、貴様が単騎で希望崎を滅ぼしてくれるというのか?』 「それは……」 『不可能だろうな。希望崎を叩くなら機会は物資が足りず弱体化している今しかない。奴らは戦力として非常に危険だ。しかし残念ながら上毛衆から援軍を出すことは出来そうにない。皆それぞれの任務で忙しいし、鳥取の奥地となると遠すぎる。だからこそのハルマゲドンだ。これなら貴様一人でも希望崎を貶められる可能性は高いだろう。』 できれば、共に過ごした仲間を地獄へ落とすような真似はしたくない。 ゆっくりと言葉を選び、隊長の説得に掛かるが……。 「その希望崎の危険性ですが、あくまでグンマーの近隣地域にあったが故に危険視されていたはず。鳥取に飛ばされた今ならば、それほど脅威ではないのでは?」 『確か原因不明の転移なのだろう? もし何かの拍子に関東に戻ってきたらどうする。物資は補給され、希望崎は万全の状態となり、再びグンマーの身近に位置する脅威となるだろう。そうなる前に叩いて置かねばならん。何か文句はあるか?』 「……いえ」 (駄目だ。恐らく、何を言おうが隊長は意見を変えたりしないだろう……) 『これは命令だ。ハルマゲドンを引き起こせ。成功すればそれなりに報酬は弾んでやろう。』 「……かしこまりました」 通信が切れた。 (やるしかないのか……) ――援軍は来ない。潜入している学校でハルマゲドンを起こす。 この作戦には大きなリスクがある。 それは、扇動する本人がハルマゲドンに巻き込まれる可能性だ。直接戦闘に参加しなくても、そもそもの目的である「希望崎の負け」が決定すれば水の供給が断たれ茜は他の生徒と共に野垂れ死ぬ。 隊長は頭は固いが、決して馬鹿ではない。そういった事態も予想済みだろう。 つまり、茜は使い捨ての駒扱いをされたというわけだ。 この任務は希望崎の生徒達にとっても、茜本人にとっても得にならない。 暗鬱な思いを抱きながら、茜は任務に取りかかりはじめた。 ◇◇◇ 水が少しずつ不足していく。 希望崎には水を大量に消費する魔人も居るため、砂丘高校からの配給では足りるはずもなかった。 希望崎学園はもっと水を寄越せと要求し、鳥取砂丘高校は水の消費を抑えろと反発する。 茜が少しずつ煽り立てた功もあって、二校の溝は深まっていく。 それと同時に罪悪感も徐々に茜の精神を蝕んでいく。 敵地だと教えこまれ、潜入した学園の生活は思いの外楽しくて。 機密部の皆は私の正体を知った上で情報を秘匿してくれて。 使命と罪悪感の狭間で揺れつつも、茜は扇動の手を止めることができなかった。 ――――誰かが、きっと誰かが止めてくれる。 そんな甘い願望を縋るように抱いて、任務を遂行していった。 ◇◇◇ 遂に水不足により倒れる人が出てきた。 希望崎、砂丘高校の両方でハルマゲドン開催を望む声が上がり始め、学校内で開戦派と穏健派の派閥が生まれた。 茜は穏健派に所属した。 抑圧が強ければ強いほど人は反発するものである。それを利用して、茜は穏健派として過激派を抑圧することでより過激派の活動を活発にした。 「武力で解決しても何も生みません。平和な解決方法を探しましょう。」 そんな心にも思ってないことを何度口にしただろう。 ……あるいは、本心からの言葉だったかもしれないけど。 過激派の一人はこう語った。 「このままでは二校とも共倒れだ。現状を維持して何になる? 俺は、仲間たちが次々と倒れていくのをただ見ていることなんてできない! 鳥取の人達を犠牲にしてでも自分も仲間たちを守りたいと思うのは、そんなおかしいことだろうか? そして向こうだって同じようなことを考えているはず。もはや衝突は避けられない。ならば、いっそ戦うなら、ゲリラ戦になって泥沼化し始めるという最悪の事態を避ける為にも、明確な勝利条件のあるハルマゲドンを開催するべきだろう!」 彼の考えは少し過激だけど、学園の仲間達を真剣に想う熱意は伝わってきた。 (過激派も穏健派も根本は同じ。皆が皆のことを思って行動している。ただ目的の為に選んだ手段が違うだけだ。それに比べて私は、私は一体何をやっている……?) ここに来て生じ始めた孤独感、疎外感とも言える寂しさ。 仲の良い友だちと話していても、その寂しさが紛れることはなく。 むしろ彼らの笑顔が鈍痛となって心に重く響いてくる。 この寂寥感はきっと罪の意識から生じたもの。 茜の企みの内容からすれば当然ともいえる仕打ちだろう。 計画は成功に近づいているはずなのに、茜は精神的に追い込まれていく。 もうきっと止まらない 今更茜が扇動を止めようが止めまいがいずれにせよ大好きな友人達は命懸けの闘いへと身を投じることになる。 (私は…………わ、たしは…………) 任務と仲間を比べた天秤がぐらり、と揺らいだ瞬間だった。 ◇◇◇ 派閥発生から数日が経ち、水の盗掘未遂事件が発生した。 誰が犯人だったかなど、もはやどうでもよかった。 状況が起こした当然ともいえる帰結であり、例え今回の事件がなかったとしても今後似たような事件は発生していただろう。 ただ一ついえることは、この事件が両校の間に決して埋めることの出来ない亀裂を刻み、事態は急速にハルマゲドン開催へと動き出したということ。 そして。 「番長グループに引き続き、生徒会でもハルマゲドン開催が決議されたぞー!!」 ハルマゲドン勃発。 「マジすか」 「生徒会マジクール」 「今回は生徒会だの番長グループだのって内輪もめじゃねぇ、俺達希望崎が全員一丸になって砂丘高校をぶっ飛ばすんだ。テンション上がってきたぜ―!」 「鳥取の地平線に勝利を刻むのです!」 「気合!いれて!いきます!」 開戦の知らせに盛り上がる希望崎の生徒たち。 喧騒に包まれる中、茜は一人悪寒に震えていた。 「――――あぁ、遂に。」 これで、上毛茜は使命を果たした。 希望崎学園と鳥取砂丘高校は潰し合い、どちらか一方あるいは両方が潰える。 「……ぅ。」 突然、胃のあたりから何かがせり上がってくる気配を感じて、茜はトイレに駆け込んだ。 「……っ。…………っ!……はぁ……はぁ……」 胃の中身をほとんど吐き出した。 口から胃液を垂らすほど吐き出しても、足りないと言わんばかりに身体はえずく。 突如発生した身体の異常に、しかし茜はなんとなく原因を理解していた。 (多分精神的なもの……。自責の念に駆られて、とかそんな感じかな) 胸が痛い。 ハルマゲドンは遊びじゃない。人が死ぬ。 下手すれば戦闘に参加する全員が死ぬかもしれない。たとえ勝てたとしても、無傷の完全勝利とは行かないだろう。 茜は涙で瞳を滲ませながら嘆く。 (私のせいだ……。全部……全部……吐き出して消えてなくなってしまえ。使命も。上毛衆という肩書きも。) そこで、ふと気づく。 (……あぁ、そうだ。消そう。今の私にいらないもの、全て。) 立ち上がって、個室からでる。 颯爽と歩き出した茜の目には固い決意が宿っていた。 ◇◇◇ 上毛衆の隊長との呪符による通信を試みる。 なかなか相手が応じない。苛立ちが募る。 だが、この通信を使うのも最後となるはずだ、と思うことで焦りを抑える。 【※ここから先の一連の会話はグンマー独自の言語で話され(以下略】 『茜か。どうした』 繋がった。 すぅ、と息を吐き出し呼吸を整える。 「……命令通り希望崎学園VS砂丘高校のハルマゲドンを引き起こすことに成功致しました」 『そうか、大儀だ。ハルマゲドン本戦の際に参戦メンバーに選ばれないよう、しばらくは目立たぬ様に行動するといい。貴様も命は惜しいだろう。』 友達を死地に向かわせておいて、自分は安穏とした立ち位置にいられるか? ――そんなもの、答えは決まっている。 「いえ。私は参戦メンバーに立候補しようと思います」 『……何?』 「そして今この時をもって、私は上毛衆を脱退しようと思います。今までありがとうございました。」 『!? 貴様、自分が言ったことの意味がわかってるのか!』 「許可無く脱退する者はかつての同胞の手によって“消される”のでしたよね? ええ、結構です。やれるものならやってみて下さい。確か、せっかく希望崎を潰すチャンスなのに援軍を出すことすら出来ないほど皆多忙なのでしょう?裏切り者一人殺す為に人材を派遣できるほど余裕があるんですかね……?」 『…………。何故だ? さっきから訳が分からない。何が貴様をそうも駆り立てる?』 「やりたいことがあるんです。上毛衆にいたら、恐らくそれは成し得ることが出来ない。」 『やりたいこと、だと?』 「希望崎の仲間たちの役に立ちたい。ただ、それだけのこと。彼らの為になら命を投げ打つことだって惜しくもありません。」 『その仲間たちを死地に追いやったお前が、か? なかなか滑稽なことを言うじゃないか』 「ええ。だから、その罪滅ぼしをしたい。簡単に償えるような軽い罪ではありませんが、上毛衆の名を捨てて、希望崎の生徒としてハルマゲドンに参戦することで少しでも罪を償いたいのです。」 『……ハルマゲドンが終わる頃には余裕もできるだろう。なにやら偽善に酔っているようだが、それも本戦終了までだ。生き残っているならお前の命を、死んだなら上毛歌留多の回収に隊員を回すつもりだ。貴様はいずれにせよ死ぬ定めとなる。』 「そうですか。ハルマゲドンでの生存率は低い。そして上毛衆の追手も返り討ちにできる自信はない。ですが私もむざむざとやられる訳にはいきません。生き残っていたならば自分で、死んでしまったなら仲間に託し、私の持っている上毛歌留多をこの鳥取の広大な砂漠に廃棄します。以後、見つかることはないでしょう。これで“上毛茜”の座は永久に失われます。……ざまあみやがれ。」 『貴様ぁーッ!!!』 通信を切る。 晴れ晴れとした気分だ。 皆が集まる場所に戻ると、既に作戦会議や参戦メンバーの募集が始まっていた。 「あの、私参戦しようと思います!皆の為に頑張りたいんです」 嘘偽りではない、本心からの言葉。 仲の良い友人の数人は心配するような顔でこっちを見てきた。 私はそれにはにかんで手を振る。 ――こんな私にも、心配してくれる人がいる。 ――優しい人達。 ――彼らの為に報いよう。死に物狂いで戦おう。それが、私に出来る唯一の罪滅ぼしだと思うから。 【END】
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・22回目 ・むらさメイン・・・? 微妙なとこです。 ・虐めません。 ・ていうか、子煩悩です。 ・ゆっくりが平等じゃありません。 ・きっと小ネタです。 ・ていうかSSじゃない。 ・ヨロシクオネガイシマス ゆーほー、ゆーほー、海賊暮らし 「むらさかいぞくだんだああぁ!?」 「ゆんぎゃああぁぁぁ!!」 「おちびちゃんとありすはにげてね!」 「まりさじゃかなわないわよ! いっしょににげましょう!」 「ゆわぁああああん・・・おきゃあさんどきょなの・・・」 略奪 強盗 くまなく奪う 「やべでね! これはれいむのおんみょうだまだよ! おたからなんだよ! ゆっくりりかいしてねぶごぉっ!」 「おたからときいてかいぞくがだまるわけないんだぜ。ばかなの? しぬの?」 親切心なんてものはとっくに飲みほしちまったぜ、ゆーほー 誘拐 破壊 おかまいなしさ 「このまりさはびゆっくりだからありすのだーりんにするわよんほおおお」 「やべでぃえええぇぇ」 「しね! ゆっくりしね! ゆっくりせずにしね! しね!」 「ゆばっよりぇっおぷっやべっゆぎゅえっ・・・」 思いやりなんてものは忘れたさ、ゆーほー ゆーほー、ゆーほー、海賊暮らし 「ここはみょんにまかせてさきににげるみょん!」 「ゆっくりりかいしたよ! ゆっくりしないではやくにげるよ!」 「おお、邪魔邪魔。キャプテンむらさのお通りですよ」 「うわああぁきめぇまるだあああぁぁッ!?」 「みょみょみょみょみょ・・・」 ゆすり こそ泥 くすねて いただき 「しぬまでかりてくんだぜ」 「ごはんさんをかりれるわけないでしょおおぉぉぉ!?」 親切心なんてものはとっくに飲みほしちまったぜ、ゆーほー 略奪 使い込み ハイジャックだってするぜ 「りくゆっくりのくせにスィーがあるなんてなまいきなんだぜ」 「このスィーはれいむのものなんだよ! きたないてでざわッる?!」 「まりささまはだれよりもはやいんだぜ! ゆっひゃあ!」 思いやりなんてものは忘れたさ、ゆーほー ゆーほー、ゆーほー、海賊暮らし 「ドスは!? ドスはどこにいるの!?」 「ドスはにげたんだよーわかれよー。ちぇんもにげるよ」 「ドスのばかあぁぁゃあぁぁあ・・・」 「おお、ひ弱ひ弱」 燃やして 灰にする 火をつけるんだ 「おりんりんらんどはじまるよー」 「ぼむふぁいあ!」 「ふじやまぼるけいの!」 「ざらざらながみざんぎゃあああぁぁ!?!」 親切心なんてものはとっくに飲みほしちまったぜ、ゆーほー 町中を焼き尽くす 恐怖の集団 「ゆっくりしたおうちが・・・」 「みんなでがんばってつくったゆっくりプレイスが・・・」 「もうやだ! おうちかえるぅッ!?」 思いやりなんてものは忘れたさ、ゆーほー 俺たちはならず者の悪党さ 「いいかおまえらー! むらさたちゃかいぞくだー!」 「ゆーほー!」 「ゆーほー!」 親切心なんてものはとっくに飲みほしちまったぜ、ゆーほー 俺たちは悪魔、はみだし者、本当にひどいやつらだ 「ぜーんぶ、うばえー!」 「ゆーほー!」 「ゆーほー!」 思いやりなんてものは忘れたさ、ゆーほー ゆーほー、ゆーほー、海賊暮らし 「どぼじてごんなごど・・・」 「もっちょ・・ゆっくち・・・」 「おねがいじばずぅぅうぅばりざだげはだじげでくだざぃなんでもじまずうぅぅう」 「ゆっくりおことわりするよ」 「ゆびぃッ」 物乞いに海賊 汚いやつさ 親切心なんてものはとっくに飲みほしちまったぜ、ゆーほー 「おーい。暗くなってきたから海賊ごっこはお終いにして帰るぞー」 「いやぁ、お疲れ様でした。相変わらず可愛いですねぇ。おたくのむらさちゃん」 「あ、そうだ。ダンボールの火消さないと。バケツバケツ」 「いやいや、あなたのみょんちゃんなんて黙々と切り捨ててかっこよかったですよ」 「お疲れ様。きめぇまる。おお、良い絵が取れてる取れてる。これで、次号のゆっくりスナップ大賞は頂きだぜ!」 「れみりゃちゃんまたお洋服汚しちゃったのね・・・あとでお着替えしましょ。よし。じゃあ、みんなでゆっくり喫茶におゆはん食べに行きましょう」 「誰の驕り?」 「もち割り勘だよねー」 「えー・・・」 河川敷から、賑やかな飼いゆっくり達と飼い主の集団が去ったあと。 2週間かけて、河川敷にゆっくりプレイスを築いたゆっくりの群れのなれの果てが残るのみだった。 「ゆーほーゆーほー海賊暮らし 俺たちゃ盗み鉄砲撃ち酒を飲み干す 俺たちゃ人をさらって酒を飲み干す ゆーほーゆーほー海賊暮らし 力で倒し奪って酒を飲み干す ハイジャックだってやるのさ酒を飲み干せ ゆーほーゆーほー海賊暮らし 街中を燃やすのだ酒を飲み干せ 誰でも振るえ怖がる酒を飲み干せ 俺たちゃ何でもやる酒を飲み干せ パパとママに愛された酒を飲み干せ」 アトガキ 飼い主達の酒の肴は、飼いゆっくり達が海賊ごっこをして楽しむその姿。 そんな締め方です。 ということで、パイレーツ・オブ・カリビアンの録画したやつを見終わって衝動的に書いてみました。むらさかいぞくだん。 むらさは添えるだけなのは仕様です。 詳細とかの描写は、読んだ方の心の中で展開してもらえるようなら本望です。自分も妄想してムハーってなりました。 分かるとは思いますけど、スパロウが歌ってたあの歌です。酒を飲み干せっ! ご読了ありがとうございました。 やまめあき(仮) 【妄想で書いたもの】 かり ・ふたば系ゆっくりいじめ 963 ト● ・ふたば系ゆっくりいじめ 990 くちばしにチェリー ・ふたば系ゆっくりいじめ 1000 デスクトップガジェット ・ふたば系ゆっくりいじめ 1018 ゆっくりつくーる ・ふたば系ゆっくりいじめ 1054 夢想天生 ・ふたば系ゆっくりいじめ 1064 スペクタクルスパイダーウーマン ・ふたば系ゆっくりいじめ 1091 つるべおとし ・ふたば系ゆっくりいじめ 1118 ゆっくりのおもちゃ ・ふたば系ゆっくりいじめ 1123 いまじん ・ふたば系ゆっくりいじめ 1142 スポイラー ・ふたば系ゆっくりいじめ 1163 ラブドール ・ふたば系ゆっくりいじめ 1172 益虫? 害虫? ・ふたば系ゆっくりいじめ 1189 スィークリング ・ふたば系ゆっくりいじめ 1214 てゐ! ・ふたば系ゆっくりいじめ 1227 ゆっくりは生首饅頭の夢を見るか? ・ふたば系ゆっくりいじめ 1235 箱、無音、窓辺にて ・ふたば系ゆっくりいじめ 1261 世はまこと遊技である ・ふたば系ゆっくりいじめ 1296 かえるのこはかえる ・ふたば系ゆっくりいじめ 1318 川辺の海賊 どろわ ・つんつんつんつくつんつくつんつん ぬえ ・山女って可愛いよね ・女はつらいよ このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! ◆SS感想掲示板 やまめあき感想スレへ ※書き込む時はSSのタイトルを書いて下さい。 コレをコピーしてから飛びましょう→『ふたば系ゆっくりいじめ 1318 川辺の海賊』 トップページに戻る
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2月13日 今年もついにこの季節がやって来た。 世の中の乙女達が胸に秘めたその熱い想いを甘い褐色の魂に溶かし解き放つ。 その聖戦の前日である今日、浮き立った気配の中レンジャー連邦の乙女達は神妙な顔でL島に降り立つ。 自らの最善を尽くすその為に。 L島南部。 連邦の恋する乙女達の間で淑々と語り継がれる小さな砂浜の上で空を仰ぐ少女が一人。 静謐な雰囲気にそぐわない武装を身に纏い、切れ長な瞳を閉じたまま、しなやかなその手を祈るように胸の前に組んで、静かになにかを待っている。 辺りを静寂が支配し、潮騒と風の音だけが辺りに満ちる。 数刻の間。 一陣の強い風が森をざわめかせる。 それになにかを感じ取ったように瞳を開く少女。 その瞳には強い意志の光が爛々と輝いている。 「さぁ」 口元に浮かぶのは獰猛な笑み。 努力と経験に裏打ちされた自信が溢れ出すような。 「狩りを始めましょう」 恋に全敗のカカオハンター。 愛香の戦いが今年も始まる。 /*/ バレンタイン特別SS 乙女達の聖戦2 ~逆襲の愛香~ /*/ 空が青い。 常日頃なら歓迎すべき鮮やかな日差しも、頬を撫でる柔らかな風も、今の愛香には邪魔でしかない。 風は臭いを運び、明るい太陽は愛香の姿を鮮やかに映し出す。 そして愛香は知っていた。 奴らは鼻が聞く。 何より、島の変化に恐ろしく聡い。 ―あまり状況は良くない…か 森の中を慎重に進みながら、心の中で苦笑する。 ―でも 初めてでは無い。 こんな不利などいくつも越えてきた。 今はただ冷静に。 出会ったならば一撃で。 それを心に思い起こして歩き出す。 その時。 愛香の背後の枝葉が揺れる。 息を飲み、銃を構える愛香。 引き金に指をかける。 「あ゛ーい゛ーかーさぁーん!!」 枝葉の影から飛び出してきた少女の強烈な一撃(タックル)に吹き飛ぶ愛香。 構えていたはずの銃や腕やらを弾き飛ばし正確に鳩尾を打ち抜いたその頭に悶絶する。 「いやっ…げふっ!ちょ…まっ!」 自らの意志を離れた体の反応にうまく言葉が紡げない。 「愛香さん!愛香さん!愛香さん!」 なおも泣きじゃくる少女の頭を何とか撫で付け、呼吸を整える。 その猫の耳と、銀色の髪には見覚えがあった。 「ごほっ…じ、じにあちゃん?」 「はいー!」 /*/ (文責:双樹真)
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『先に駆けること──────sideA』 『先に駆ける者──────sideB』 無題14 「新参陣営から見たBチーム各ターンの見せ場SS」【濡れ場濡れ場の第1ターン】 【ドラゴンダビデな第2ターン】 【死なせません!!私が死んでも守ります!!な第3ターン】 【激動波乱な第4ターン】 『先に駆けること──────sideA』 「やらせねぇ…………ぞ」 地面に倒れ伏した仲間を背に、道之せんとうは両手を広げて上級生に立ち塞がった。 既に勝敗は決している。皆、激闘の末に力を使い果たし、戦える者はもう居ない。 道之自身でさえ同じだった。それでもふらふらと立ち上がった。 体力など、一欠片も残っていない。精神力など、一滴も残っていない。それでも何故 立ち上がれるのか。自分にさえ分からなかった。精一杯の虚勢を張る。 「へっ…………なんだか知らねぇが、立っちまうんだよ……」 その答えは、意外なところから現れる。すなわち、彼ら1年生の敵…………3年生。 「…………それが、希望崎学園魂だ」 「希望崎学園…………魂……?」 厳かで、しかし力強い言葉が轟く。 「ただ今をもって我ら古参、新参1年生の入学を正式に認める!!」 「…………押忍、ごっつぁんです、先輩」 一瞬呆けたような表情を浮かべたが、やがて不敵な笑みに顔を歪ませ…………。 立ったまま、気絶した。 「フッ…………思ったより骨のある奴だ。………………さぁ、1年生ども全員、第二 保健室に運ぶぞ。”不可思議”蓮ならまだ間に合う」 「応!」 対する3年生側も無論、無事ではない。ハリセンで叩き飛ばされた者。とろっとろに とろけたブリ大根を食わされた者。痛い目を見て病院で栄養食を食べるハメになった者。 酷い者になると、「おはよう」とよく通る声で挨拶された者までいる。被害は甚大と 言えたが、上級生の貫禄か疲労を微塵も見せずにそれぞれ負傷者を担ぎ上げ運んでゆく。 残された古参が一人、ニヤリと笑った。 「今年の新参はなかなか、活きが良い…………」 骨肉の戦いを終え、運ばれてゆく1年生を見守るその瞳は既に、後輩を見る目だった。 「江田島校長、ご報告申し上げます! 覇竜魔牙曇は3年生側の勝利で決着です!」 ドタドタ、と足音を立てて校長室に飛び込んできた一人の教師。その報告を江田島は 年代物の湯呑みに淹れた熱い茶を飲みながら聞くと、意味ありげに頷いた。 「予想通りだな…………これで漸く奴等を迎え撃てるというもの」 「奴等…………?」 事態を飲み込めない教師は首を捻る。ただ、とてつもなく嫌な予感だけはひしひしと 伝わる。 「フッフフ…………東に希望崎学園あれば、西に羅漢学園あり」 「ま、まさか…………!?」 「今年の夏は、熱くなりそうじゃわい」 校長室の窓から見上げた空には既に雲一つなく、ぎらぎらとした太陽の季節の到来を 予感させていた。 <了> TIPS ※”不可思議”蓮…………通称”ワンダー”蓮。第二保健室の主である女医。白蓮刺繍 のチャイナドレスに白衣を羽織った抜群のプロポーションを 誇る美女。魔人能力「死亡確認!」は強力な死者蘇生術。 魔人名「一 不可思議(にのまえ・ふかしぎ)」 ※羅漢学園…………………西日本に位置する、言わばもう一つの希望崎学園。 『先に駆ける者──────sideB』 「…………覇竜魔牙曇、1年生側の勝利で決着です」 一人の男の最終報告を、校舎内の一室にて聞く者たち。その数、十。何れもその容貌 は影に紛れ、杳として知れない。 「ご苦労だった、同志K」 同志Kと呼ばれる男は身分を秘して新参陣営に潜入し、その内情を探る働きをしていた。 戦いに不慣れな新参の士気をそれと無く高めたり、実戦が初めてな者へ魔人同士の戦いの なんたるかを最低限示したりすることで彼らの信用を得、陣営の情報を微に入り細に入り 把握していた。1年生の強みも弱みも、開戦前から丸裸であったと言えよう。 そして、この部屋に集まる者たち。彼らは古参の中でも指折りの実力者であり、覇竜 魔牙曇の名目で新参の実力を測る計画を企てた希望崎学園の影の支配者────── Government of Kibousaki──────GKと自らを呼称する者たちだった。 「さて…………では、希望崎学園の真の恐ろしさ。新参共に教えてやらねばなるまい」 重々しい言葉で、GKの領袖である男が断を下す。 「奴等はようやく登りはじめたばかりだからな。このはてしなく遠い希望崎学園坂をよ……」 「それ、打ち切りフラグですからね。我々の出番ないですよ、ボス」 「えっ」 「えっ」 「…………同志L。同志ε」 「はっ」 名を呼ばれた二人は同志Kの肩を両側からがっし、と捕まえるとそのまま何処かへ 連れ去る。誰もが恐れる朗読室送りは同志Kには効果が薄い。恐らく別の懲罰室であろう。 希望崎学園を支配するGK。その恐ろしさを新参が知るのには、今暫くの時を待つこと になるであろう。 <了> TIPS ※ボス…………GKの最高権力者である魔人。しかしGKはその時々で構成員の入れ替わり があり、一定ではない。正体は不明。 ※同志L…………頭文字Lの名を持つ魔人。正体は不明。 ※同志ε…………頭文字εの名を持つ魔人。正体は不明。挨拶が好きという噂がある。 ※同志K…………頭文字Kの名を持つ魔人。正体は不明。朗読が好きという事実がある。 無題14 諸君 私はハッピーエンドが好きだ 諸君 私はハッピーエンドが好きだ 諸君 私はハッピーエンドが大好きだ 友情が好きだ 共闘が好きだ 完勝が好きだ 仲直りが好きだ お約束が好きだ 大団円が好きだ 無血開城が好きだ 甘い展開が好きだ デウス・エクス・マキナが好きだ 教室で 廊下で 校庭で 屋上で 体育館で 保健室で 職員室で 秘術室で 媚術室で 死兆覚室で この学び舎で起こりうる ありとあらゆるハッピーエンドが大好きだ 何が起こっても怯まない主人公が 必殺技と共に敵達を吹き飛ばすのが好きだ 指揮官を失った雑魚敵が 戦意喪失してちりぢりになった時など心がおどる 命を張って味方を助ける 心熱き漢が好きだ どう考えても絶体絶命の状態で 巨大な爆弾の爆発と共に消えておきながら なんだかんだで平然と復活したときなど胸がすくような気持ちだった 昨日の敵が今日の友となり 敵の戦列を蹂躙するのが好きだ かつて味方を苦しめた必殺技の数々が 新たな敵を 縦横無尽に蹴散らしている様など感動すら覚える ライバルが主人公のピンチに駆けつける様などはもうたまらない 口では悪態をつきながら まるで10年来の親友のように 主人公とライバルが絶妙なコンビネーションを見せるのも最高だ そうしたご都合展開を繰り広げ 冷静に考えて想定しうるあらゆる問題を闇に葬り去り 誰一人欠けることなく勝利の二文字を掲げて物語が決着した時など絶頂すら覚える 主人公が奈落の底に投げ出されるバッドエンドが嫌いだ 必死に守るはずだった仲間が蹂躙され 主人公が殺されるバッドエンドは とてもとても悲しいものだ 主人公に痛みを強制するトゥルーエンドが嫌いだ 何かを失い 悲しみを胸に明日へと進むトゥルーエンドは屈辱の極みだ 諸君 私はハッピーエンドを 幻想の様なハッピーエンドを望んでいる 諸君 私と共に先駆けた新参達 君達は一体 何を望んでいる? 更なるハッピーエンドを望むか? 情け容赦のない 糞の様なハッピーエンドを望むか? ご都合主義の限りを尽くし 上等な料理に蜂蜜をぶちまけるが如き サッカリンの様な結末を望むか? 「ビッチ!! 触手!! 妹!!」 (´・ω・`) ……よろしい ならば応援だ 我々は満身の力をこめて今まさに書き込むボタンを押さんとする人差し指だ だがこの蒸し暑い梅雨空の下で一ヶ月もの間 堪え続けてきた我々に ただの応援では もはや足りない!! 大応援を!! 一心不乱の大応援を!! 我らはわずかに31名 二戦制の規約に満たぬ新参にすぎない だが諸君は 一騎当千の新強者だと私は信仰している ならば我らは 諸君と私で総兵力2チームと1人の軍集団となる 我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう 髪の毛をつかんで引きずり降ろし 眼を開けさせ思い出させよう 連中に魁の味を思い出させてやる 連中に我々のSS朗読の音を思い出させてやる 天と地のはざまには 奴らの経験では思いもよらない事があることを思い知らせてやる 31人の魔人の応援団で 本戦終了後も戦勝SSを投稿し尽くしてやる 「最後の2チーム+1名 陣営ラジオより全新参メンバーへ」 第二次魁!!ダンゲロス応援作戦 状況を開始せよ 征くぞ 諸君 「新参陣営から見たBチーム各ターンの見せ場SS」 【濡れ場濡れ場の第1ターン】 ―――――先に動いたのは新参陣営だった。 戦闘に自信のある新参魔人達が開幕直後から敵陣を目指し一直線に駆けだしたのだ。 ある者は自分が目立つ為にある者はまだ見ぬ敵の能力を記録するためにある者は自分の拳を示すために、それぞれが確固たる意志をもって歩を進めた。 そんなメンツの中でもひときわ強い覚悟を秘めて単身敵陣に向かう男がいた。 そう、その男こそ最強の一般人こと緑風佐座(みどりかぜ さざ)であった。 緑風の覚悟とは、すなわち自らの死に対する覚悟だ。 開戦前に行われたシミュレートの中で、緑風が単身突撃しなければ新参陣営に勝ち筋のないことが判明していた。 しかし単身突撃した際の彼の生存率はせいぜい1割程度であり、緑風の用法をめぐって作戦立案時の陣営内は荒れに荒れていた。 「…私だって『死ね』って言ってるんじゃないのよ? ただアンタが行かなきゃ勝てないってんなら…その…仕方ないっていうか…」 「『死ね』はやめましょうよ!!! 緑風さんが死んじゃったらすごく悲しいですよ!!? きっとみんなすごく後悔しちゃいますよ!!?」 「必要犠牲ならば止むを得ずだな。無論僕も陣営の為に死ぬ覚悟を有している。」 「私は戦略とか戦術とか難しいことはわかんないけど、佐座君には死んで欲しくないかなぁ…」 そんな終わりの無い舌戦を纏め上げたのは、他ならぬ緑風だった。 彼は自身の隠された能力である「認識を周りに強制する能力」を使い、作戦会議をしていた魔人達に「緑風はきっと死なない。緑風ならきっとなんとかしてくれる。」という希望的認識を植え付けたのである。 緑風はよく戦術を理解しており、自分の立ち位置の重要性を知っていたのだ。 故に自らが犠牲となる最善手を能力によって選びとり、これにより緑風特攻案は誰にも止められることなく当日決行されるに至ったのである。 なお、この緑風の決断の背景には彼が元から持っていた「ヒーロー願望」とでも呼ぶべき理念の影響も少なからずあったことを付け加えておく。 以上のような思惑の元、新参陣営は開幕と同時に攻めをかけたわけだが、この直後に「確固たる意志」も「死に対する覚悟」も邪悪なる古参陣営の前では何の意味も無かったと思い知らされることとなるのである。 ―――――その陰惨な返し手は新参陣営内の事前シミュレートで予想済みのものであったが、予想するのと実際に体験するのは別物であり、新参達が直に体験したそれは想像を遥かに凌駕した邪悪なものであった。 返し手の核を担った古参魔人は「身操屋(みくりや)」の異名を持つ操身術士の一族、御厨一族の女性「御厨括琉(みくりや・くくる)」と月の力で精神力の低い対象を即死させる「月宮クズレ」両名であった。 特筆すべきは御厨の能力の凄惨さであろう。 彼女の能力「弄ばれた者の末路」は相手を操り奇行を行わせ、相手を社会的に殺す(=精神ダメージを与える)というものだ。 操身術士として決して能力の高くない彼女が他人を操れる数秒間を最大限に活かそうと工夫した結果生まれた能力がこれである。 しかし衆目に晒されている状況下では恐ろしいこの能力だが「人払いが行われているダンゲロス本戦中においては効力が薄れるのでは?」と新参魔人達は楽観視していた。 そしてその楽観視が見事に仇となったのである。 結果から言えば彼女の所持していた奇行アイディアメモの底は新参が考えていたよりずっとずっと深く、衆目がなくとも見事に血気盛んな新参アタッカー4名の精神を根こそぎ削ってのけたのである。 「確固たる意志」も「悲痛な覚悟」も彼女の手のひらの上で弄ばれて投げ捨てられた。 埴井葦菜は操られている数秒の間に自慰行為をさせられ、それを手下である無数のアシナガ蜂達に目撃された。 忠誠度の高い蜂達ははじめ葦菜のことを気遣い葦菜の痴態を見なかったことにして、黙していたのだがその不自然さを誰ならぬ葦菜が感じ取り、きつく詰問したのである。 数秒間意識が飛んだ後、何故か自分に余所余所しい態度をとるようになった手下達に対して不信感を抱いた葦菜を誰が責められよう。 「アンタ達、一体どういうつもりなの!? 私に隠し事なんて許されると思ってるの!?」 「「………」」 「…そう、何があったか教える気はないってわけね。 …わかったわ、上等じゃない! 不忠な手下なんていらないわ! アンタ達なんて大っきらい!!」 「「……あの…とても言い辛いんですが…」」 「な、何よ。 今さら謝ったって遅いんだからね…?」 「「……『ひゃーん ひゃーん』…です。」」 「ひゃーん?」 こうして蜂達から事実を聞きだした葦菜の精神はゼロになった。 行方橋ダビデは自らの残像とホモセックスをさせられた。 彼に意識が戻ったとき、残像の質量を持ったイチモツが彼の内にずっぽりと収められていたのである。 いかに同性愛者のダビデといえど自身とウリ二つな残像との性交はこれがはじめてで、動揺せざるを得なかった。 なお、普段の同性との性生活において彼が男役であったことも動揺に拍車をかけた一因である。 こうしてダビデの精神はゼロになった。 夢追中は愛用のペンを遥か遠方に投げさせられ、トレードマークのスパッツを下着もろとも細切れにさせられた。 御厨は「愛用のペンを紛失したことによって発生する喪失感と衣服を失くしたことによって発生する羞恥心で彼女の精神を削ろう」という意図でこの行動をさせたのだが、その狙いはイマイチであった。 御厨ひとつめの誤算は鷲の存在である。 夢追が愛用のペンを放り投げたのを見て、上空で待機していた彼女の友達である大鷲がそれを拾いに行ったのである。これによりペンの消失は防がれた。 御厨ふたつめの誤算は彼女の羞恥心に関してだ。 もちろん一端の女の子である夢迫には一端の羞恥心があるのだが、彼女にはそれを遥かに上回る「特殊能力に対する探求心」があった。 能力が解けた夢迫は一瞬のうちに自分の変化に気づき、それが能力によるものであることを理解した瞬間、はあぁぁぁぁ~~~ん!と嬌声に似た歓声を上げた。 その後、うっすらと湿り気を帯びた丸出しの下半身を隠そうともせず鷲から受け取った愛用のペンで特性のメモ帳にガリガリと何かを書き込みはじめたのである。 「はぁ…はぁ… これが御厨先輩の能力『弄ばれた者の末路』 すごい…すごすぎます… 想像してたよりもずっとずっと立派な射程と精度です 何の前兆もなく気付いたら意識がトんでました… はぁ…はぁ…… ……もっと……! 古参のみなさん…聞こえていますか…? もっとです!! もっと…もっと…もっと私にぃぃぃぃ!!! 特殊能力ぶっかけてぇーーーーーーーっ!!!」 こうして御厨の意図とは別に夢迫の精神はゼロになった。 そして緑風は――――― 意識を取り戻した彼は右手の親指の痛みと口の中に広がるほのかな鉄の味を感じた。 冷静な彼は今置かれている状況をすぐさま把握した。 自分が御厨の能力によって操作されたこと、そしてそれによってどうやら親指を少し噛み千切ってしまったということを。 そして彼は安堵した。 「事前に予想していた通り、御厨先輩の能力は衆目がなければ役に立つ代物ではなかったんだ。僕の精神を削る有効な奇行を思いつかず苦し紛れに指の先を噛みちぎったに違いない。どうせ噛みちぎるなら舌を切った方が強いだろうに先輩はマヌケだな」などと楽観的な考察をしたのだ。 だが楽観的とは言ったが、実際問題この時点で彼の精神は健全そのものであり、それ故に接近してきた古参魔人・月宮を鋭敏に感知することもできた。 事前のシミュレートではここで精神の枯れた緑風が月宮に討たれる算段だったのだが、今の精神状態の彼が月宮の精神攻撃にかかるはずもない。 緑風は自身の生存と陣営の優勢を確信し心の内でガッツポーズをした。 が、接近と同時に月宮が放った一言により事態は一変する。 「何そのTシャツ、ウケるwww」 一般人を装うために彼は普段から「一般人」と大きくプリントされた白地のお手製Tシャツを愛用していた。 「一般人」Tシャツは一般人を装うことを何よりも大切にする彼の性質を具現化したような代物だ。 ダンゲロス本戦当日の今日においてもその習慣に漏れはなく、…いや、むしろいつもより気合を入れておろしたての「一般人」Tシャツを着て陣営に参じた緑風であった。 その信念の象徴とも言えるTシャツをバカにされて緑風はムッとして言い返した。 「『一般人』Tシャツはカッコいいです。 むしろ先輩の格好の方が失笑ものですよ?」 「『一般人』Tシャツぅ?w 『魔人』Tシャツの間違いじゃないの?ww」 何を…と、自分のTシャツに視線を落とした緑風はこの時になってようやく気付いたのである。 自らのTシャツに刻まれた「一般人」の「一般」に血で派手なバッテンが描かれ、その横にやはり血で「魔」と大きく書かれていることに。 緑風にとってこれは耐えがたい羞辱であった。 例えるなら忍者に「忍者」と大きく金の刺繍を施した紫地のTシャツを着せるようなものである。 いや、コナン君に「僕は工藤進一です」と刺繍したTシャツを着せるという例えの方がこの時の緑風の心情に近いかもしれない。 兎にも角にも、これをもって緑風の精神はゼロになったのである。 「いやっ! これはちがくて! 俺マジ一般人だし!」 緑風のクールな仮面は既に剥がれおちており、動揺が見てとれた。 そんな隙だらけな彼を熟練の使い手である月宮が見逃すはずもなく、 「ファンタズムーン・ディバイン・キャッチ!」 というどこかで聞いたような必殺技名と共に緑風は即死したのであった。 ■ 緑風の死亡により新参陣営の連携に乱れが生じた。 それは緑風の能力により押しつけていた認識が消えたことに起因する 「なぜ誰も緑風の特攻を止めなかったのか?」 後悔と悲しみが新参陣営を襲う。 特に御厨の能力をまともに受けた上で緑風が死ぬところを目撃してしまった行方橋・埴井の両名は発狂寸前の精神状態に陥ってしまった。 →緑風を失った新参陣営に勝機はあるのか!? 次回! ドラゴンダビデな第2ターン! 【ドラゴンダビデな第2ターン】 開戦から約1時間後、沈黙を守っていた新参陣営の阿野次(あのじ)のもじがついに動いた。 「♪一つ積んでは君のため~ HA! 」 能力によりのもじの歌がダンゲロスに参加しているすべての古参魔人の耳元で響き渡る。 聞き慣れた者にとっては戦意を鼓舞する軍歌のように聞こえるこの歌だが、聞きなれない者にとっては単なる騒音に過ぎない。 これにより古参陣営の精神力とSAN値はガリガリと音を立てて削られていった。 ■ のもじの歌を反撃ののろしに攻勢にでる新参陣営。 ダンゲロス伝統のB廊下とD廊下の攻防がついに始まった。 D廊下を挟んで睨み合うは新参陣営の二枚盾がひとり「鉄壁絶壁幽霊少女(フラットロンリーガール)・梨咲(ありのみざき)みれん」と古参陣営の変態九大天王がひとり「私の彼は子宮住まい(ボーイミーツガール)・名戯(なざれ)まりあ」である。 D廊下は両陣営共に手薄な配備で、みれんとまりあ(&こう)による一騎打ちの様相を呈していた。 梨咲「ふぇーん、設定が高次元過ぎて怖いよー!! お願いだからこっちこないでー!!」 まりあ「こう君こう君! な、なんかあっちに幽霊さんがいるんだけど!?」 こう『うお…まじじゃん、こえーな』 …訂正、お互いがお互いの存在に怖気づいて震えていた。 結局名戯まりあがB廊下の攻防に備え引くこととなり、ここでの戦闘は行われなかった。 ■ 一方互いの主力が集結したB廊下周辺には一触即発の雰囲気が流れていた。 古参陣営は先ほどまでD廊下を守護していたまりあが最前線で睨みを利かせ、その横には開幕直後に緑風を葬った精神即死魔人の月宮が控えている。 さらにまりあのすぐ後ろには凶悪な攻撃性能を持った魔人たちが控えている陣形だ。 対する新参陣営も埴井や夢迫といった攻撃的能力者が控えているものの御厨による精神的ダメージが響いておりまともに殴り合うには分の悪い状況だった。 さらには能力休みになっている月宮が再び動き出すのも時間の問題で、それも旗色の悪くしている原因のひとつであった。 そんな押され気味の新参陣営の中で1番深刻なダメージを負いながらも自らの意思で最前線から動こうとしない男がいた。 それこそ新参陣営攻め手の要、行方橋ダビデであった。 ダビデの能力は質量をもった残像を生み出す能力である。 この残像はダビデ本人に準ずる攻撃力と耐久力を有し、手数を増やす能力として新参陣営内で重宝されていた。 そのダビデが今、鬼気迫る形相で残像と共にB廊下に陣取り古参の進軍を牽制している。 ダビデの負った傷は生易しいものではない。 残像を生み出すだけでもかなりの体力と精神力を要するというのに、そのあとに古参魔人・御厨の能力によって心身ともにボロボロにされ、泣き面に蜂とばかりに親友・緑風の死に様まで見てしまった。 本人は 「うおおおおお!!! こんなことで残像を消してたまるかァーーー!!」 と気力を振り絞って能力を維持しているが、傍でその様子を見ている新参魔人達の中には彼の見舞われた数々の不幸に同情の念から涙を浮かべているものさえいる。 十年ほど前にトランプが体に刺さり集中力が切れたために能力を維持できなくなった分身能力者がいたが、彼を比較対象として挙げるなら何故ダビデが能力を維持できているのか不思議なくらいなのだ。 そんなダビデの後ろで彼を見ていた新参陣営リーダーの稲荷山 和理(いなりやま にぎり)は後にこう語る。 「あの時のダビデ君の様子は今でも鮮明に覚えています。 …ダビデ君、緑風君と仲が良かったんですよ…。 雰囲気が似てたし、たぶんお互いどこか惹かれるところがあったんじゃないですかね。 そんな緑風君が死んじゃって、とても悲しかったんでしょう…。 あんな風に声を荒げて必死になっているダビデ君を見たのはあれが最初で最後でした…。 あの時のダビデ君からは頼もしさよりも怖さを感じてしまいましたね…。 手負いの虎というか…こう…逆鱗に触れられた龍のような荒々しさがありました。」 →「ドラゴン」という不吉な属性を得て生き残れるのか行方橋ダビデ! 次回! 死なせません!!私が死んでも守ります!!な第3ターン! 【死なせません!!私が死んでも守ります!!な第3ターン】 行方橋ダビデの消耗は誰の目にも明らかだった。 B廊下に陣取ってから早一時間、目前に控える古参主力・名戯まりあと月宮クズレのプレッシャーを一身に受け続けているのだから無理もない。 ただ、彼が一瞬でもその場を離れれば瞬く間に敵がなだれ込んで来ることは想像に難くなく、安易に「引け」と言える状況ではなかった。 そうしたつばぜり合いのような緊張状態が長い時間続いていたのだが、ついに契機が訪れる。 今まで頑なに沈黙を守ってきた古参陣営リーダー・アキカンが能力を発動したのである。 アキカンの能力の禍々しさはその場にいた全ての新参魔人が知っていた。 味方の古参魔人を媒介として発現するアキカンの呪いは逆らう者全てに凄惨な死を与える。 この能力が発動された時、新参陣営には逃げる以外に有効な選択肢が無いのだ。 「おい、さがれ馬鹿 病院で栄養食を食べる事になる」 業を煮やした新参陣営の一人がダビデに撤退を促すが、ダビデは一切反応せずに残像の維持に集中を傾けている。 そんなダビデの努力をあざ笑うかのようにアキカンの能力を受けた古参魔人・重川がB廊下に飛び込み、ダビデの残像を拳で殴りつけた。 パンッと小気味のいい音を立ててはじけ飛ぶ残像。 残像の維持以外何も考えないことで発狂しそうな精神状態を抑え込んでいたダビデはこれにより心身虚脱に陥ってしまった 分身も消え、心身共に消耗しきり、もはや彼を守るものは何も無くなった。 「これが最前線に立つ者の定め」とばかりに間もなく訪れるであろう死を受け入れた様子でダビデは力なく座り込んでいる。 目前には分身を殴り消した古参魔人の重川、後詰めには名戯まりあや月宮クズレをはじめとする古参陣営の手練れが5名も控えている。 これをどうこうするのは例え万全な状態なダビデをもってしても不可能で、ましてや消耗しきった彼ではなおさらである。 「(最早ここまで…佐座(さざ)…速右(しゆう)…死ぬ前にもう一度…)」 「『死ぬ』はやめようよ!!!」 死を覚悟したダビデと重川の間に割って入るように一人の半透明な少女が現れた。 古参陣営の方を向き華奢な手足を目いっぱい広げて仁王立ちの構えでキッと重川を睨みつけている少女の名は梨咲(ありのみざき)みれん、新参陣営の二枚盾を冠する防御能力者である。 遠い昔に自殺した少女の幽霊である彼女は自殺後になって自らの愚かな行為を悔い、同じ過ちを犯そうとしている人間を見つけるとついつい諭したくなってしまうのだ。 また彼女は幽霊特有のスキルをいくつか習得しておりダビデの心を読んだのもそのスキルの一つである。 「私が来たからもう大丈夫だよ!! ちょっと下がって見ててね!!」 そう言ったみれんに対して「余計なことを」とダビデは心中で毒づいた。 精神が枯れ切っているダビデはもはや生に対する意欲が薄く、むしろ死にたいとすら思っていたのだ。 自身の自身たる証である能力に犯され、親友を目の前で殺され、最後の精神的支えであった発動中の能力が消えた今、彼を支えるものは何も無かった。 元々陣営に対する忠義心は薄く、新参陣営の中で行われていた友情ごっこも弱り切った彼の生きる動機となるには足りなかった。 もうどうでもいいんだ、もう――――― 彼がその次の言葉を連想した瞬間、みれんは大声を張り上げた。 「『死ぬ』はっ!! 『死ぬ』はやめようよっ!!!」 それは何の代わり映えもしないいつも通りの台詞だったが、彼女の声は震えていた。 「私がファッション自殺しちゃったのは知ってます…よね…? 私は本当に下らない理由で死んじゃったんです。 はじめて好きになった男の子に勇気を出して告白したら手酷い振られ方をしちゃって…。 そのショックで…つい…。 …そんなのってありきたりで馬鹿馬鹿しいって思いますよね? 私もそう思います。 でも今の私はそう思えても当時の私はそうは思えなかったんです。 その時の私の頭の中はその男の子のことしかなくて、それがダメになったら全部がダメになったような気がしたんです… だから今がダメだと思っても実は全然ダメじゃないっていうか…その… うまく言えないんですけどとにかく『死ぬ』はダメなんですっ!」 みれんは拙い言葉を一生懸命紡ぎだし、ダビデを何とか説得しようと試みた。 しかし彼女の必死の説得が彼の心を打つことはなく、むしろ薄っぺらな内容の説得は彼の心をより一層冷やしてしまったのだ。 だが一周回ってそれは吉とでた。 死にたい死にたいと思っていたダビデの心はもう思考することすら面倒だという領域に突入したのだ。 その結果ダビデは煩い音から遠ざかりたいという原始的な欲求に素直に従うようになり、大声を放つみれんを嫌いズルズルと自陣営の奥へと下がっていったのである。 ダビデの心を読んでいたみれんは彼の精神が今なお世紀末な状態にあることを知っていた。 しかしそれでも、先程まで目にいっぱいの涙を貯めていた彼女の顔には安らかな笑みが浮かんでいる。 自分の想いが全く伝わっていなくても、たとえそれが一時しのぎの生だとしても、とにかく死なせなければ先に繋がることを彼女は知っていたのだ。 自分で捨てたもう無い先に未練を抱く、そんな辛いのは私だけで十分です。 ダビデはいずれ元気になって戻ってくる。 その未来に繋ぐため、まずは今この場を死守しなければいけない。 覚悟を決めたみれんは改めて重川と視線を合わせる。 みれんがダビデを説得している間、重川とて遊んでいたわけではない。 重川は精神を集中した状態で重川流格闘法の構えをとって幽霊の様子を静観していたのだ。 それは幽霊独特のただならぬ気配に押し込められたというわけではない。 彼女は長い戦闘経験から自分の会心の一撃を3発~4発打ちこまなければ目の前の敵が沈まないであろうことを察知したのだ。 複数回拳を打ちこもうとすれば必然的に隙が発生する。 そして隙ができれば幽霊の後ろに控えている魔人に仕留められてしまう。 故に殴らず静観は武道家である重川らしい合理的な判断だったと言えよう。 そんな重川の様子を見てすぅっと深く息を吸ってから、みれんはありったけの大声を張りあげた。 「私がここにいる限りこれより先は無いと思って下さい!!! 誰ひとり通しません!! 誰ひとり死なせません!! 私が死んでも守ります!!」 こうして幽霊と古参主力達によるB廊下防衛戦がはじまったのである。 なお、この声を聞いた新参陣営ベンチから「ジブンもう死んどるんとちゃうんかーい!!」という関西弁がやまびこのように響いてきたことを追記しておく。 新参陣営と古参陣営がB廊下を巡って火花散る攻防を繰り広げているそのさなか、「奴」は古参陣営の奥深くに現れた。 「奴」は所謂転校生と呼ばれる存在だった。 経験豊富なダンゲロスプレイヤーにとっては周知の事実だが、転校生というのはインベーダーゲームでいうところのボーナスUFOのような存在であり、出現と同時に各陣営にポイント目当てに命を狙われてしまう大変不憫な役割なのだ。 過去のある転校生は登場直後に瀕死にされた上に童貞を奪われ放置された。 またある転校生は焼きそばパンを食べさせられて瀕死になった上に隅っこで戦いが終わるまで放置された。 この瀕死からの放置プレイはダンゲロスの歴史を重ねるにつれ伝統芸能のように確立されていき、それに比例して当初「異界から召喚されし、圧倒的な戦闘力を持つ魔人」という触れ込みで一般魔人を震え上がらせていた転校生の威厳は地に落ちていったのである。 故に今日の新参対古参の戦いにおいても、両陣営共に転校生に対してそこまでの警戒心を抱いておらず、「まぁでてきたら殺してやろう」程度の認識しかなかった。 だが「奴」はその認識を真っ向から裏切り、両陣営に衝撃を与えたのだ。 「奴」の名は「HET壮九郎」といった。 HETとはハイパーエリート転校生の略である。 HET壮九郎は自身のようなハイパーエリート以外の者に生きる価値は無いという考えの元、視界内に入ったHHE(非ハイパーエリート)を片っ端から灼き尽くす特性を持った転校生であった。 なお、HET壮九郎の定める基準を満たすHEは希望崎学園内に存在していないため、つまるところ現在古参対新参に参加している全ての魔人が彼の抹殺対象となるのだ。 そのHETは実にHE然とした優雅な振る舞いで登場し、手始めにたまたま視界に入ったHHE魔人を殴り殺した。 この仕事の早さこそHETがHETたる所以である。 そしてその殴り殺されたHHE魔人というのが誰ならぬ古参陣営リーダー・アキカンであったことにより戦況は一変する。 阿野次のもじの歌によってただでさえ精神を削られていた古参魔人達は、突然のリーダーの死に直面して半狂乱状態に陥った。 さらに古参陣営にとって都合の悪い事にはアキカンが死んだことにより、アキカンが重川と六埜九兵衛(ろくのきゅうべえ)にかけていた能力が解除されたのだ。 一方、新参陣営も前線に出ていた重川の不気味な付与が霧散したことからアキカンの死を察して、今が好機と総攻撃をかけることを決意する。 →熱を帯びるB廊下の攻防! 戦いはいよいよ佳境へ! 次回! 激動波乱な第4ターン! 【激動波乱な第4ターン】 一人孤独にB廊下防衛に勤しんだ幽霊少女は当初の宣言通り誰も通すことなく、約30分もの長い間この場所を守り通した。 その彼女の眼前には息遣いこそ荒くなったものの未だ凛とした構えを解かずにいる重川がいた。 重川はみれんと対峙して構えた瞬間から今まで、構えを崩さず睨み合いを続けていたのである。 しかしそこは人間と幽霊、多少の不意打ちを貰っても死にはしない幽霊に対して不意打ち一発で死んでしまう人間の方が危機感を持って対峙しなければならない。 後の後であろうと、とれさえすれば及第点が貰える幽霊と最低でも後の先をとらなくては落第の人間とでは比べるまでもなく後者の方が不利なのである。 そして如何に師範クラスの使い手といえど、気を充実させたまま構え続けるには大変な気力と体力を要するのだ。 それらの差が現在までに蓄積された疲労の差として如実に表れてきている。 あまり疲労の色が見えないみれんに対しずっと気を張り詰めてきた重川の全身からはおびただしい量の汗が噴き出ていた。 その汗ははじめうっすらと浮かんでいた程度だったのだが、10分、20分と経つにつれ徐々に粒状なり、やがて統合され流れへと収束していった。 そうして今、収束した一筋の汗が彼女の額から瞳に向かい流れだした。 これを拭うためやむなく重川は一足一拳の間合いから飛び退く。 離れて額を拭う重川を見て一瞬だけみれんは気を緩めた。 そして、これが勝負の分かれ目となったのである。 梨咲みれんの胸から下が爆ぜた。 ―――――増援として呼び出された古参魔人・錫原 呂々郎(すずはら ろろろ)は自らの不幸と、不幸ばかりを与えてくるどうしようもない世界を呪った。 はじめに、増援として呼び出された位置からして致命的に不幸だった。 よりにもよって新参陣営のど真ん中、しかも新参のリーダーである稲荷山和理の目の前に召喚されてしまったのだ。 新参の魔人達に囲まれ、魂を握る即死寿司職人・稲荷山を前にして、これはたまったものではないと自陣営を目指して遁走を計った呂々郎であったが、当然のように稲荷山が後を追いかけてきた。 それでも「きっと手薄なD廊下からなら自陣営に脱出できるはず」という希望にすがって呂々郎は逃走を続けていたのだが、その希望は儚く打ち砕かれることとなったのだ。 「またこんな役か…」 呂々郎唯一の脱出経路上には新参陣営の刺客が立ちふさがっていたのである。 「あなたにぴいぃぃぃぃ~~~ったりな特殊能力! 見せてちょおおだあああぁあああああいいい!!!!」 まるでそれはお伽噺に出てくる怪物のような魔人だった。 魂を喰らう鬼、人を喰らう山姥、そんな怪物達が呂々郎の脳裏をよぎった。 生殖器や性本能を持ち合わせていない呂々郎の関心は向かなかったが、内腿にぬらぬらと輝いている淫蜜がその魔人の危険さを際立たせていた。 前門の痴女後門の寿司職人。 将棋やチェスでいうところのチェックメイトに嵌った呂々郎は、こうして世界を呪ったのであった。 ―――――重川が事態を理解した頃には、全てが終わっていた。 『私が飛び退いて汗を拭った瞬間、目の前の幽霊が爆ぜた。 そしてその爆発と同時に床スレスレの軌道を描きながら銀の閃光がこちらに向かって来て、 私が迎撃に繰り出した下段突きをかわしたその閃光は、 カウンター気味に私の水月に手刀を深々と差し込んだ、…か。 低い姿勢での高速移動技術とそれを支える強靭な足腰。 私の下段突きをものともしない良い目と勝負度胸。 この肉体を貫くほどに鍛えられた鋭利な手刀。 なるほどどうして―――――』 「―――――御美事(おみごと)!」 この一瞬の攻防を重川は回想し、そう一言だけ言い残して崩れ落ちた。 重川紗鳥、即死。 重川を刺した銀髪の少年は重川の中から血まみれの右手を引き抜く。 そして彼は死体となった重川を優しく寝かせると古参陣営の方に向かい肘から先をゆるやかに回し、半身の戦闘姿勢を取った。 彼は強者ぞろいの希望崎学園一号生の中でも屈指の拳法の実力を持つ痩身銀髪の美少年 「行方橋くん!!」 ようやく彼の正体に気付いたみれんが歓声を上げる。 そう、銀髪の少年の正体は数十分前にリタイアしたかと思われた行方橋ダビデだったのだ。 相変わらず精神的にも肉体的にもボロボロで言葉を発する余力は無いようだが、その眼には消えていた闘志が再び戻っていた。 (この脅威の復活劇の裏には彼の恋人である左高 速右(さたかしゆう)の活躍があったのだが、ここでは割愛する。) 「…って!!いくら私が幽霊だからってこんな乱暴なことしちゃだめですよ!! 私が死んじゃったらどうするんですか!? すごくびっくりして心臓止まるかと思いましたよ!!!」 と、自分が目暗ましとして使われたことに対してプンプンと腹を立てているみれんをダビデは片手で制した。 目前に、あの緑風を葬った精神即死魔人・月宮が迫ってきていたのだ。 多少回復したとはいえ未だダビデの精神はゼロであり、対する月宮は能力休みも解け万全の状態。 まともにぶつかったとき、どちらに軍配が上がるかは明らかだった。 しかしダビデは一歩も引こうとしない。 親友・緑風を殺した魔人に、刺し違えてでも一発ブチ込んでやりたいという想いが彼に引くという選択肢を与えなかったのだ。 それを知ってか知らずか月宮はニッコリ笑うと月の力を秘めた即死ステッキを構え、一騎打ちを誘った。 むろんそれは遠間からの誘いであり、いかに拳法の達人といえども一瞬のうちに詰めることのできない距離がダビデと月宮の間に存在していた。 それでも不利を承知でダビデは駆けた。 対重川戦で見せたのと同じ閃光を思わせるほどの疾走ではあったが、ステッキを振りおろしきるまでにかかる時間はあまりに短く、行方橋ダビデぼ即死は避けられないかと思われた。 しかし、 「あまり調子に乗ってると裏 世 界 で ひ っ そ り 幕 を 閉 じ る」 月宮がステッキを振り終わるより早く、ある新参魔人の能力により月宮はいくえ不明になったのである。 月宮クズレ、永続戦線離脱。 「し、師匠!!!」 予想外の助太刀の主を視界に捉えたみれんがまたしても歓声を上げた。 彼女が師匠と呼び敬愛するその魔人は新参陣営の二枚盾が一人、名を「武論斗さん」と言った。 彼の能力はビビりが鬼なった貧弱一般人を全身からかもし出すプレシャーでズタズタにして、 病院送りにして栄養食を食べさせるという論理能力である。 「師匠が来てくれて心強いです!!」 「シレンは見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない」 お互いがお互いを認めあっている二枚盾の二人は、戦場での再会を心から喜んだ。 そしてついに並び揃った二枚盾の壮観さにあてられた新参魔人達は「きた!盾きた!」「メイン盾きた!」「これで勝つる!」と口々に持て囃し、大歓迎状態だった。 しかし、わいやわいやと浮足立った新参陣営を想像を絶する悲しみが襲った。 最初にそれに気付いたのは遅れて来たメイン盾だった。 「…この怒りはしばらくおさまる事を知らない」 彼が憤怒の炎を燃やす理由は視線の先にあった。 そこには先程まで獅子奮迅の働きを見せていた行方橋ダビデの死体があったのだ。 →さらばダビデ!マスター・チャイナ暁に死す! 次回! 大団円な第5ターン!
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お願い!お星様!!・SS 単発 最終回 涙星 DBへ SS保管庫へ
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百合 唯「あずにゃん可愛い~」 ◆HlzK /SyJRk 唯「あずにゃ~ん」 なまこ 澪「ああ、律はかわいいなぁ・・・。律をどうにかしちゃいたいなぁ。」 ID 4UhK4Yk40 紬とさわ子の世界征服 ID NVELq8EdO 澪「梓、弁当作ってきたぞ」 バックだお 澪「デリヘル?」 焼却炉◆kFxydb.8.2 唯「あずにゃん、ちゅーしよっか」 唯「あずにゃん、ちゅーしよっか」 その2 唯「あずにゃん、ちゅーしよっか」 その3 唯「あずにゃん、ちゅーしよっか」 その4 梓のクラスメイトが旅行に行くために、猫を預かったのが数日前。 目次@携帯 かぜひきあずにゃん 「あずにゃんを抱き枕にしてねたいよ~」 ID EIxTuZWHP 「うぅ~~おはようりっちゃん…」 ID XFHasePAO 温泉で… なめたん ◆k05EaQk1Yg 梓「ん………あれは紬先輩と澪先輩…」 える☆びおれ ◆7yJOmok0Wcz7 「なーにぶつぶつ言ってんだよーみーおー」 ID W+6MfUvZO 梓「こんにちは、ってあれ? ID p+R2+w6k 添い寝あずゆい ID 7qLP3AQo 添い寝?ゆいあずその2 ID UY+r9Z3t 添い寝?ゆいあずその2の続き ID PbGWsLZd 添い寝ゆいあず合宿編 ID n6DYqbtP 添い寝ゆいあずおうち編 ID 2hFUmMsH 勝負あり! ID mwuB18eB 外では蝉が元気いっぱい鳴いている夏休みのある日。 ID M9SaubWz 憂×唯短編 ID dKaZVG1lO 「人を好きになるって、どういうことなのかな?」 ぽんじゅーす ◆dmeDqVUA961G 梓「主導権を握られないためにはどうしたらいいか」 ◆3Y3S/FrG1k 「今度の花火大会、みんなで行かない?」 ID LwfOwgQt 澪「みんな揃ってるー!?」 ◆3Y3S/FrG1k 「あ・・・降ってきちゃった・・・。」 ID aNdU7R/m→ID drZtKN 嫉妬あずゆい ID FmSaJjPA こんにちは、中野梓です。 ID sM1uquq9 律「最近私はムラムラタイム♪」 ◆3Y3S/FrG1k 唯「おい梓、チェリオ買って来いよ」 なめたん ちょ(ryあずゆい ID vJH3rBFk 押し倒しゆいあず ID 8Kbkznjf 膝枕ゆいあず ID AppZHxz3 分からない この気持ち ID vw6OfFZx ゆいあずでちょっとしたはぷにんぐとか ID EF5T1D+Y ヘタレなあずにゃんとか ID LIWepyJ8 嫁ゆいあず(律澪) ID CJSGaX1i ゆいあず、風邪ネタ ID qT+BuVTF ちょっと匂いフェチ気味あずにゃん ID SKm6XGvy ギー太とゆいあず ID vflqH1Ly 『5梓に 9飽きられながら 5犯される(?)』 ◆Heaaunpf3c ―優しいぬくもりは、まるでマシュマロです。 ID 1BD4MtEC うあー。まさかこんな恋するなんてねー。 ID cyi/BwTkO 唯に首ったけ ID SgscFkrDO Tシャツゆいあず ID CS4v7SDV 梓「唯先輩の馬鹿!!大好き!!」 ID XUkZd3y20 梓「唯先輩の馬鹿!!大好き!!」 ID XUkZd3y20 その2 梓「唯先輩の馬鹿!!大好き!!」 ID XUkZd3y20 その3 梓「ゆいにゃん」 唯「あずにゃん」 ID ESiGxtBZ0 梓「ゆいにゃん」 唯「あずにゃん」 ID ESiGxtBZ0 その2 梓「ゆいにゃん」 唯「あずにゃん」 ID ESiGxtBZ0 その3 梓「ゆいにゃん」 唯「あずにゃん」 ID ESiGxtBZ0 その4 13話で憂なしゆいあず ID x2hWWjlW 合体ゆいあず ID kfyhTLuN アイスゆいあず ID QLNVTiX7 澪「律ってさ、可愛いよね」 ID WeBiSRl2P 「澪。わかったからいこ? な?」 ID x+3cuaIKO 澪「一時間律、っと…」 ◆3Y3S/FrG1k 「ちょっと唯聞きたいことがあるんだけど」 ◆Heaaunpf3c 「うぅ……眩し……」 ◆Heaaunpf3c 添い寝あずゆいお部屋編 ID UxVtTc58 ゆいあず、たいやきネタ ID UHm5uU6l こんにちは、中野梓です。 ID xI70NOeS 梓「唯先輩起きてください!皆帰っちゃいましたよ!?」 ID WChg0Otq 片想いあずにゃん ID 3QxVxWve 続、片想いあずにゃん ID FuFpQu2d 梓「実は・・・私唯先輩のことを・・・」 天倉澪 梓「じゃあ、私と付き合ってみませんか?」 ID ZaeDs5pF 無自覚無意識 ID EC8L5ru1 純「梓ってさぁ、唯先輩のこと好きなの?」 ID cA+k0PI5 唯「ムーギちゃんっ、最近新しくできたクレープ屋さんいこっ」 午後の麦茶 唯「だからあずにゃん…私のおっぱい揉んで!」 ID wrfaQqL5 唯「でね?あずにゃんったらね?」 ID uL8yPgRW ゆいあず、あったかネタ ID oC76zyXt 憂「いらっしゃい梓ちゃん、あがって?」 ID qwPxADol 唯「えへへ~、実は帰り道で知らない男の子に好きって言われちゃってぇ」憂「え…」 ID lT4jXrPN りつみおシリーズ ◆Ns.EBMhHjhs0 ウメネタ ID jDoV5kQw 『トライアングラー!』 謎の小袋 ◆PzD3ftv2xo 梓「はぁ…私も早く後輩ほしいなあ」 ID vJJ6rPg+ 中野梓です。放課後。音楽室には私と唯先輩しかいません。 ID DMe/gl3I 紬「ほーら、唯ちゃーん、起きてー」 ◆3Y3S/FrG1k 「そのときが来るまで」 ID ezErVZOg ――最近、どういうわけか唯先輩が私から距離を置いている。 ID SJIo5OdF だからやっぱり私はこのままで、ツインテールのままでいようと思います。 ID gYK6RJrD 唯「梓先輩!」 ID l9ogWev60 夕飯を作りながら主人の帰りを待つ。エプロン姿もだいぶ板についてきたかな。 ID GRVM5cz3 「今日から抱きつきは一回だけにしてください!」 ID AcV8c1Rg 憂「ねぇ、お姉ちゃん」 ID k1x1aAeX 憂「お姉ちゃん」唯「……」 ID eWrwQy7o ゆいあず、クッキーネタ。 ID TWgLytVJ 私はその日、一人きりで夕飯を食べていた。 ID PsnvUFZA 私はいつから唯先輩を好きになったんだろう… ID 58B/Mntt ifけいおん唯梓幼馴染ルート ID l8RBoKpm→ID drE4Zfp 『唯先輩、今までありがとうございました』 ID J8e9PgQ9 憂「…お姉ちゃん?」 ID 6RGZZfsF お風呂から上がってリビングに行くと、珍しく憂がうたた寝をしていた。 ID MN8YSAMF 律「よーし、今日はこれくらいにしとくかー」 ID PV6SDkug ゆいあず、結婚ネタ ID SRIgdHWx 唯「あーずーにゃーん!」 ID m65ZiO1p 梓の飽くなき挑戦 ID J758B7TR それは、唯先輩と付き合い始めてから1ヵ月が過ぎた頃のこと。 ID PNXCscA4 保守かわりに ID GCGYpHW1 唯「あ~ずにゃ~ん♪」 ID th2s+s5V ある日の放課後、私は部室で先輩たちを待ちながら机に突っ伏していた。 ID /qd+S4xO 梓「あれ?先輩そのお菓子どうしたんですか?まだムギ先輩来てないのに」 ID jJ4VUVzN 自宅デート ID VsgGu+4B 梓「その…いつもみたいに甘えても…いい?」 ID ddXny9RY envy-yui ID sM7DDFDe 旧ジャンル 『突如イケメン化』 ID r06dEtO0 if『唯がお嬢様(?)』 ID URqMfd7j うたたねあずゆい ID F6tA1IXb 錯覚 ID WEwWcpKB 私はあずにゃんのことが大好きだ。 ID iC2HEB2T 梓「唯先輩、こないだギターの練習に付き合ってほしいって言ってましたよね」 ID F8LHccYb 梓「唯先輩!こんにちはっ!」 ID vb2DVGtN やくそくゆいあず ID OGilvgkU ハロウィンの前に ID ZkvIWA+3 ゆいあず、ハロウィンネタ ID RyO2xnNS 梓「トリックオアトリート!」 ID X8nFm0/4 ハロウィンゆいあず ID CJ8fPe1q 唯「ねぇねぇあずにゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 ID IAURUxDY 私たちの帰り道 ID AW5TkijA 「あずにゃん、アイス食べたくない?」 ID xETI3J6K 唯「ふんふふーん…うぁっ!?」 ID f4qu0mGe ウメネタ2 ID SHpUvc4C ムギちゃんは女の子が好きなの? ぽんじゅーす ◆v88/Arvq1E 梓「学校に来たら机の中にこんなものが… あれ?下に何かある?」ID R956DXo0 唯「なんか最近ムギちゃん元気ないよね」ID aChuYkY0 R-18 レズ さわ子「澪ちゃん、今日はこのメイド服よ!」 ID PLqApPszO 澪「律……今日私の手を触ってくれたね…」 える☆びおれ 唯「暇だし、澪ちゃんのまんこにバター塗って、犬に舐めさせてみよう!」 ID McfdTiGD0 梓「薔薇獄乙女」 午後の麦茶 ◆aozzrhnk3A 唯「りっちゃんそれなーに?」 える☆びおれ 唯「わ~澪ちゃんの太ももぷるぷる~」 午後の麦茶 梓「いつまでくっついてるんですか…」 ID w3biEjbZO 唯「恥ずかしくなんかないよー女同士だし〜♪」 唯「恥ずかしくなんかないよー女同士だし〜♪」 その2 紬「唯ちゃんと梓ちゃんは何もわかってない」唯梓「え?」 ID XvwuIPQNO 律「ストップ さわちゃ……ひゃんっ / 」 午後の麦茶 澪が律に勉強を教えるも途中で律が寝てしまいry ID Ftaj8v2J0 「言い間違いにご用心」 ◆3Y3S/FrG1k 【デキモノ】 ギー助 梓は唯の教室を覗いてみた。 ID VH5eP6hj0 ふたなり 紬「澪ちゃんのオナニーしてるところが見たいです」 こまけぇことは良い人 律「………ふぁーあ」 こまけぇことは良い人 唯「わー、あずにゃんのおっきいね!」 ID qHNYx9dxP 唯「わー、あずにゃんのおっきいね!」 ID qHNYx9dxP その2 唯「あずにゃ~ん」 ID jNpGLKSS0 唯「あずにゃ~ん」 ID jNpGLKSS0 その2 唯「あずにゃ~ん」 ID jNpGLKSS0 その3 唯「あずにゃ~ん」 ID jNpGLKSS0 その4 唯「あずにゃ~ん」 ID jNpGLKSS0 その5 律「おい澪、これは何の真似だ」 鶏肉
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【深夜】 NO. タイトル 作者 登場人物 237 厨二病の概念はまやかしか ◆U0l15v8s0 氏 食堂の男、ジ・エーデル・ベルナル 238 悪意に満ちた世界で(1)悪意に満ちた世界で(2) ◆wduoJZdE0 氏 シックス、ヨハネ・クラウザーⅡ世、イエス・キリスト、羽瀬川小鳩、黒猫、遠野志貴、ミスター・ブシドー、武藤遊戯、スコール・レオンハート、黒崎一護、涼宮ハルヒ、美堂蛮、藤井蓮、鬼柳京介、アーチャー 239 GOING TO FINAL ◆Puu/WV9.0 氏 巴マミ、トゥーサン・ネシンバラ 240 大集合鋼のレジスタンスそれぞれの明日へ ◆xDOg4J8w0 氏 ヨハネ・クラウザーⅡ世、イエス・キリスト、羽瀬川小鳩、黒猫、遠野志貴、ミスター・ブシドー、スコール・レオンハート、武藤遊戯、黒崎一護、涼宮ハルヒ、美堂蛮、藤井蓮、鬼柳京介、アーチャー、カズマ・ア―ディガン、東風谷早苗、巴マミ、トゥーサン・ネシンバラ 【朝】 NO. タイトル 作者 登場人物 241 我々と-最後の欠片- ◆U0l15v8s0 氏 食堂の男、水銀燈、天野銀次 242 黄金大戦(前編)黄金大戦(後編) ◆vgjvCaFk0 氏 マスターテリオン、ラインハルト・ハイドリヒ、セフィロス、風鳴翼、ジ・エーデル・ベルナル 243 勇者だからこそ ◆vHLwLwXg0 氏 ヒュンケル 244 meaning of birth世界の中心で愛を叫んだけもの時よ止まれ、君は誰よりも美しいから ◆GnJMNcBo0 氏 藤井蓮、天魔・夜刀、涼宮ハルヒ、美堂蛮、鬼柳京介、アーチャー 245 定向進化とは呪【あなふたつ】heaven s gate ◆cpCXmWgI0 氏 シックス、イエス・キリスト、羽瀬川小鳩、黒猫、ヒュンケル、ヨハネ・クラウザーⅡ世 246 ならば我々は ◆k954eT1gO 氏 ミスター・ブシドー、トゥーサン・ネシンバラ、遠野志貴 247 魔王に挑む三人の勇者その名呼べ、強く呼べ!ああ、ぼくらのデモンベイン ◆g55jXzXsO 氏 バーン、カズマ・アーディガン、東風谷早苗、巴マミ 248 遊☆戯☆王(1)遊☆戯☆王(2)遊☆戯☆王(3) ◆cpCXmWgI0 氏 バラン、スコール・レオンハート、武藤遊戯、黒崎一護 249 堕天奈落 ◆gfOM1ohk0 氏 藍染惣右介 【第七回放送】 NO. タイトル 作者 登場人物 250 第七回放送 ◆I/nUkMb20 氏 ジ・エーデル・ベルナル 第六回放送までの本編SS ゲーム終了までの本編SS
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土曜の夜。無数のバイクや四輪が集まっていた。 この辺りで暴走行為を繰返す若者の集団である。単なる暴走行為だけならまだしも、喧嘩や恐喝、麻薬の売買から放火まで遣る極悪集団である。 彼等は警官など恐くない。何故なら、彼等の殆どは未成年で、殺しても植物人間にしても、僅か二年で出てこれるからだ。 その日、群れている彼等を注意しようと照井交番の若い巡査が近づいた。先輩巡査には群れていても無視するよう再三再四注意されていたのだが、正義漢が強いが故、注意しようとしいたのだ。 だが、それが悪かった。たちまちボコボコにされる。 その時、少女が近づいてきた。この場には不釣合いなメイド姿である。 意識が喪う寸前、頭に浮かんだのはメイド刑事だった。だが、あれはドラマという空想空間での話しで実在する筈がない。 「なんじゃ、こりゃ!!」 少年が近づく。小柄の少女である。向かい合う少年と比べると小学生と大学生くらいの差がある。 肩まで伸ばした髪、童顔で、子犬のような大きな眼が、身長と相俟って余計、そうみえてしまう。 胸倉を捕まえた。その瞬間、その姿は青い服にマント、ミニスカートの姿に変る。 「迷惑なんで、片付けさせてもらうわね♪」 腕を掴む。ギシギシという悲鳴をあげる腕、少年は、あまりの激痛に腕を外し膝を突いた。 男の顔を胸で挟むと、力を込めた。 ミシミシ クチャッ 脳が飛び散り、血飛沫が降り掛かる。それでもスーパーガールは笑みを浮かべている。 「ひ、へぇぇぇぇぇッ!!」 次は車だ。目の前にあった改造車に近づくと、徐に腕で叩く。軽く叩いたように見えた。だが、瞬時にして車が凹み、奇妙な形になる。 「よいしょ♪」 凹んだ場所に膝小僧を乗せ、ボデイを掴んだ腕に力を込めると「ミシミシ」という悲鳴を上げ二つ折りになった。 それを地面に置き、手で丸めていく。数分で鉄製ロールケーキのようになった車が地面に転がった。 * ここからフタナリ 唖然とする暴走族。続けてバイクだ。纏めて両手で抱え上げると押し潰した。 またも腕で丸めていく。先程より、少し巨大な球体が出来上がった。 次々と車やバイクを腕で脚で膝小僧で胸で押し潰し丸めていく。その度、「やめてくれ~」という悲鳴のような声が 少年達から上がった。 総ての車が鉄の球体に変るのには十分も掛からなかった。 「なんでだよ~!!何で、こんな事するんだよ!!」 眼を潤ませる少年に、平然と「だって、近所迷惑なんだモン♪」と言い放った。 「さて、次は貴方達・・・・。」 「な、何すんだ、おい!?俺等は未成年だぞ!!」 「害虫さんには、未成年も大人もないよ。駆除しないとね♪」 そういうと、股間を弄る。何をするのか?逃げるよりその事が気になった。 すると男根が出た。子供のような皮を被った可愛いオチンチン 「おめえ、オ○マか!?」 「違うよ。ふ・た・な・り♪」 そういうと、扱く。可愛いオチンチンが上下に擦られ、勃起していく。 ピンと立ったオチンチンを、さらに扱く扱く。 「あ、あん♪出るよ、出ちゃう。」 喘ぐスーパーガール。扱く右手の動きが早くなる。拘束で手やオチンチンが消えたような錯覚さえ憶える。 ドププププゥッ ドプッッッビシャッ 白い液体。それも物凄い量だ。忽ち、少年達は白濁液塗れになった。 「な、なんじゃこりゃ!?」 逃げようともがいた。だが、動かない。接着剤のように固まっていく。 * 修正 拘束=高速 数分後、完全に固まり動けなくなる少年達。だが、まだ意識はあった。 「さてと♪」 そのまま、底に手をやり、白濁液をはがす。まるで壁紙を剥がす様に、あっさりと剥がれれた。 それを丸めていく。普通、少年達の体が邪魔で、うまく丸まらないと思うだろう。 だが、少年達の体は白濁液の一部であるかのように丸まった。 どうやら、スーパーガールのザーメンには人間の殻の原子を分解し取り込む作用があるらしい。 来るさえ巻き込み、白い球体が出来上がる。 「たすけて~」 「辞めて~」 悲鳴を上げる少年達。だが、スーパーガールは足の爪先で蹴り上げ、膝小僧をブチ当てた。 吹き飛び、大気圏さえ高速で突き抜いた白い球体は、太陽に向かった。 「あ~スッキリした♪」 その顔は、まるで溜まりに溜まった尿を出し切った後のように爽快な笑みだ。 <終わり>
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SS1 SS2 SS3 SS4 SS1 それでは少し惚気話をしようか。 あれはいつのことだったか。 私と彼女が特に親密な付き合いを始めた頃のこと。 私と彼女が生涯を誓い合った後のこと。 そして、私と彼女の今だ。 □□□ 「何かしら?」 私が目の前、やや下方にある艶やかな黒髪を撫でると、彼女はそう問うた。 もちろん私が何をしたいか分かっていて、あしらっているだけだ。 「そんなところを触られたら、スイッチが入っちゃうわよ?」 特に熱が篭っている訳でもない、冷ややかな声音のまま、彼女はそう言う。 もちろん私はその行為を止めようとはしない。初めからスイッチを入れる気なのだから。 「あなた、さっき病院に行って栄養剤を注射されて帰ってきたばかりでしょう?」 特に私の身体を労わる風でもない、冷ややかな表情のまま、彼女はそう言う。 もちろん私がそんな程度で彼女を構うことを止めるはずもない。 病める時も、健やかなる時も、私は彼女と共に―― 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 ■■■ 「あなたは何がしたいの?」 私の顔の下で、彼女の漆黒の瞳が私を見上げる。 私は言葉は不要と、彼女の奥深くまで、探索を続ける。 「もう新しい発見なんてないでしょう?」 不安も、不満も感じさせない仕草で、彼女は私の両目をその小さな手で覆う。 私は目を封じられようと困ることはない。 彼女の身体の奥の奥、その一番奥の最深まで、道順は空で覚えている。 私が彼女に関する事柄を辞典に纏めるなら、2冊の辞典が完成されるだろう。 「あなたは何を望んでいるの?」 興味も、疑問も見えない彼女の声色。 私の答えは決まっている。例えその日に新たな決断を迫られようと。 「君と共にどこまでも」 「無理ね」 「どうして?」 「私は今度、オンラインの世界へ旅立つから。あなたにそんな時間はないでしょう?」 「人は3時間も寝られれば十分だそうだね」 彼女の鋭い眼差しが私を刺す。 私の微笑みがその視線を迎え入れる。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 □□□ オンラインの世界は秘境だった。 時に下水道へ潜り、時に密林へ赴き、時に城跡へ足を踏み入れる。 未知の怪物が襲いかかり、未知の罠が張り巡らされ、未知の人々と策を弄しあう。 手に持つ武器は易々と折れ砕け、敵は尽きず、辺りには死体が転がる。 秩序の維持にメンテナンスは欠かせず、何も出来ぬ己に歯噛みする。 そんな未踏の領域で、ある日、私の前を行く彼女は立ち止まり、振り返った。 ただひたすらに耐え、無限に耐え、彼女を追ってきた私に、彼女は問うた。 「あなた、なぜついてきたの?」 もちろん私が何と答えるか分かっていて、あしらっているだけだ。 「君が行くと言ったから」――私の答えに、 彼女は喜びの表情を見せるだろうか。感謝の言葉を返すだろうか。否。 「これをあげるわ」 艶やかな黒髪が揺れ、漆黒の瞳が煌き、冷ややかな声音で、彼女は宝箱を差し出す。 そうでなくてはいけない。そうでなければ彼女らしくもない。 「ありがとう」 私は彼女に微笑みかけ、感謝の言葉を返す。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 こうして私は爆発した。 SS2 それでは少し、彼女について話そうか。 □□□ 「ささやき - えいしょう - いのり - ねんじろ!」 彼女は今日もまた一人、それほど親しいわけでもない人間を絶望の海へ沈めている。 そんな彼女は可愛らしい。 「奇襲 - 首切り - 灰 - ロスト!」 彼女は今日もまた一人、すっかり打ち解けたと思い上がった人間を奈落の底へ放っている。 そんな彼女は美しい。 「君は相変わらず厳しいね」 私は笑顔でそう告げる。 彼女は初対面の者にも、慣れ親しんだ者にも、等しく容赦しない。 物事は段階を踏んで――そんな理屈は通らない。 いわば、レベル1からレベル2になるのが特に厳しいのだ。 極めた先に安泰あり――そんな言葉も通じない。 いわば、レベル100でも一瞬で全てが灰になるのだ。 「あなたは優しくして欲しいのかしら?」 関心も無さそうに彼女は問うた。 それも大変魅力的だけど、と、私は笑顔でかぶりを振る。 平穏なんて、君と共にあるこの緊張には比べるべくもない。 最初からクライマックス――そして最後までクライマックス。 平らかな時など、死んだ後に全て回してしまえばよい。 君といる時に胸高鳴らせず、いつこの胸を鳴らせというのか。 存分に蹂躙してくれて結構。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 ■■■ 「エナジードレイン!」 彼女は今日もまた一人、それほど親しいわけでもない人間の苦労を水泡に帰している。 そんな彼女は輝かしい。 「壁の中に入ってしまった!」 彼女は今日もまた一人、すっかり打ち解けたと思い上がった人間の努力を灰燼に帰している。 そんな彼女は神々しい。 「君は相変わらず人の努力を踏みにじるね」 私は笑顔でそう告げる。 彼女は積み重ねたものを崩すのが好きだ。 どこまでもどこまでも先へ進んだ者を、一瞬で己の足元へ引き戻すことを喜びとする。 彼女を前にしたら、どのような努力も、研鑽も、決して完成を見ることはない。 「あなたはゴールへ到達したいのかしら?」 意味も無さそうに彼女は問うた。 それも素敵な事だけど、と、私は笑顔でかぶりを振る。 達成感なんて、君を追い続けるこの渇望には及ぶべくもない。 完成なし――故に完了なし。 安らかなる時など、死んだ後に全て追いやってしまえばよい。 君といる時に足を動かさず、いつこの足を働かせればよいというのか。 登る山の頂など見えなくて結構。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 □□□ 彼女はいつでも誰にでも厳しい。 彼女はどこまでも無慈悲だ。 彼女について、おおまかにはこれだけ知っていればよいだろう。 これ以上詳しく話そうとしたら、千夜一夜じゃ収まらない。 だがもうひとつ、彼女について忘れてはならないことがある。 「これをあげるわ」 「この宝箱は開けても大丈夫なのかな?」 「95%の確率で何も起こらないわ」 「本当に開けても何も起こらないかな?」 「ええ、もう一度言うわ。95%の確率で何も起こらない」 「それじゃあ開けさせてもらうよ。ありがとう」 彼女はとても嘘吐きだ。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 こうして私は爆発した。 SS3 それでは少し、自分語りでもしようか。 □□□ 「あなたは何で諦めないの?」 その冷たい瞳で私を見据えながら、彼女は問うた。 何度墓石の下へ送り込まれても、 どこまでも迷宮をさまよい歩かされても、 いつまでも暗闇の中を引きずり回されても、 どれほど大切なものを捨てられても、 どれだけ積み重ねた努力をふいにされても、 行き着く先はいつもいしのなかだとしても、 私は彼女を追うことを止めようとはしない。 「私は君を信じているからね」 「私の何を信じられるというのかしら」 「君は私を他の誰よりも酷い目に遭わせてくれると、信じているからね」 私は微笑む。 彼女はその冷たい瞳で私を見据える。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 ■■■ 「あなたは厳しい女が好みなのかしら?」 その凍えるような声音で、彼女は問うた。 決してそんなことはない。 私に優しく接してくれる人と、これまでに多く出会ってきた。 そして、その人達もやはりとても魅力的だった。 あるいは多彩で、あるいは多芸で、 あるいは饒舌で、あるいは親切で、 そういった優しい人達によって、私は育まれてきた。 そういった優しい人達が、私は好きだ。 ただ…… 「そういった人達よりも、不意に訪れるいしのなかの方が魅力的だというだけさ」 私は微笑む。 彼女はその凍えるような声音で応える。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 □□□ 「あなたは結局、何が好きなのかしら?」 その凍てつくような表情で、彼女は問うた。 もちろん、私が何と答えるかは分かりきっているだろう。ただのあしらいだ。 私の手元には既にひとつの宝箱。 彼女からのプレゼントだ。 これを開錠する前に、言うべきことを言っておこう。 私は何が好きなのか。 簡単な話だ。 つまり私は、 こういう風にプレゼントを渡してくれる―― そして、その時にそんな表情を私に向けてくれる―― 「君が好きなんだよ」 私は微笑む。 彼女はその凍てつくような表情を私に返す。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 こうして私は爆発した。 SS4 「知っているかしら?」 「何をかな?」 長い、長いウェディングロードを歩き、その果てに―― 深い、深いヴァージンロードを歩み、その深奥に―― 誓いの場に立つ彼女が、 同じく誓いの場に立つ私に向けて問うた。 「知りて行わざるは、ただ是れ未だ知らざるなり」 「陽明学だったかな?」 純白のヴェールの下で、彼女の冷たい瞳が煌く。 彼女はウェディングドレスの裾を踏まぬように、ゆっくりとこちらへ向き直った。 「あなたは馬鹿ね」 「知っているさ」 彼女と私と、二人の、お決まりのやりとり。 彼女はお決まりのように、冷ややかな表情を浮かべる。 「知っているならなぜ繰り返すのかしら?」 爆発は日常茶飯事で、 墓石の下へ蹴り込まれ、 暗闇の中へ押し込められ、 先の分からぬ迷路で戸惑い、 最後にはいしのなかへと至る。 もう何度繰り返したことだろう。 だがそれは学ばないからじゃない。 己の馬鹿さを知らないからじゃない。 むしろ、しっかりと、知っているから―― 「君が笑ってくれることを知っているからさ」 彼女はその暴虐を行うとき、とても楽しそうに笑う。 厳しく、冷たく、凍えるような、雪を頂く峻嶺のような笑顔を。 彼女は他の誰よりも私に対してその暴虐を振るう。 私は他の誰よりも彼女を笑顔にすることができる。 君の笑顔を見られるのなら、私は馬鹿でかまわない。 「いいのかしら?」 「いいんだよ」 白く輝くウェディングドレスの中、 彼女の艶めく黒髪が揺れ、 彼女の漆黒の瞳が煌き、 彼女は凍てつくような――笑顔を浮かべる。 私は彼女と共にいる限り、何事にも、何者にも、負けはしない。 なぜならば、 私の愛する勝利の女神は、 そのサディスティックな微笑を、 常に私へ向けるのだから。 「病めるときも、健やかなるときも、 悲しみのときも、喜びのときも、貧しいときも、富めるときも、 あなたを愛し、あなたを敬い、あなたを慰め、あなたを助け、 この命ある限り、あなたの笑顔を護ることを誓います」 「病めるときも、健やかなるときも、 悲しみのときも、喜びのときも、貧しいときも、富めるときも、 あなたを爆破し、毒を盛り、墓石の下へ送り、いしのなかへ届け、 この命ある限り、あなたに波乱を与えることを誓うわ」 ありがとう 大魔導師リィ 私は そんな あなたが 大好きだ! 「馬鹿」 こうして私達は結ばれた。 これにて私の語らいは終幕と致しましょう。 それでは、ここにお集まりの皆々様、 どうか、私と彼女との末永き幸福の前途へ、その真心からの祝福を――